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唯「ということで憂と付き合うことになりました!」 律「どういうことでだよ」 紬「おめでとう唯ちゃん!ちゃんと気持ちが伝わったのね!」 唯「うん!ムギちゃんのおかげだよ!」 律「おーい、私の話聞いてるかー?」 紬「女同士、それも血の繋がった姉妹という壁を乗り越えたのね……」 唯「ビクトリー!もう私にこわい物はないよ!」 紬「あ、そういえば一時間目は漢字テストね」 唯「これが最後の困難になるだろう……」 律「おい」 放課後 唯「それでねー、私と憂は恋人同士なんだよー!」 澪「そうか、よかったな」 唯「ちゃんと聞いてよ澪ちゃん!」モミモミ 澪「こらこら胸を揉むな」 紬「微笑ましいわね」 律「ねぇ詳しく教えてよムギ」 紬「唯ちゃんと憂ちゃんのこと?」 律「うん」 紬「……そう、あれは一昨日のこと」 律「あ、回想に入るのね」 律「……一昨日?」 一昨日 唯「ムギちゃん……」 紬「どうしたの唯ちゃん?妹に禁断の恋でもしたような顔しちゃって」 唯「あ、はい」 ~~~ 紬「……そこからすべて始まったの」 律「突っ込むべきなのこれ」 唯「みーおーちゃーん」モミモミ 澪「こらー唯、そろそろ怒るぞー」 紬「……」ポワー 律「続きは?」 紬「あ、ごめんなさい」 ~~~ 紬「つまり唯ちゃんは憂ちゃんと恋人になりたいのね?」 唯「うん……でもいけないことだよね」 紬「大丈夫、需要はあるわ」 唯「じゅよう?」 紬「……じゃなくて、少なくとも私は応援するわ」 唯「ムギちゃん……」 紬「キュン」 紬「……コホン。唯ちゃん、その上目遣いは憂ちゃんのためにとっておいてね」 唯「?うん、わかった!」 紬「大事なのは積極的になることね」 唯「どういうこと?」 紬「例えば……いきなり抱いてみたり!」 唯「いつもやってるよー」 紬「二人で一つのベッドに寝たり!」 唯「最近寒いからよく憂と寝るよー」 紬「じゃあ今は寒いから、二人で一つのマフラーを巻くっていうのもいいかも」 唯「いつも学校行く時してるよー」 紬「なら思い切って二人でお風呂に入ったりなんて……きゃっ♪」 唯「たまになら入るよー」 紬「……もう何もする必要ないんじゃない?」 唯「え?」 紬「いい?もう唯ちゃんがするべきことは自分の気持ちを伝えるだけなの」 唯「でも色々準備が……」 紬「大丈夫。パワプロで言えば彼女の好感度上げすぎて逆に告白される状態なの」 唯「パワプ……え?」 紬「とにかくあとは唯ちゃんの勇気次第だからがんばって!」 唯「うん!なんとなくわかったよ!」 ~~~ 紬「回想おわり」 律「正直ムギは何もしてないな」 紬「ていうか二人は既に恋人同士みたいだったし」 律「はは……で、唯はそのあとどうやって告白したんだ?」 唯「これでもか!これでもか!」モミモミ 澪「唯いいかげんに……んっ」 律「唯!唯!」 唯「え、どしたのりっちゃん?」 澪「ふぁ……もっとぉ」 紬「私が」 澪「ないわ」 紬「……」 律「どうやって憂ちゃんに気持ちを伝えたんだっつーの」 唯「えー聞きたいのー?」 律「うん」イラッ 唯「でもー、恥ずかしいしー」クネクネ 律「じゃいいや」 唯「ああごめんなさい!話します!話させてー!」 律「まったく……で?」 唯「えっとね昨日のご飯の時ねー」 律「ふむふむ」 ~~~ 唯「今日のご飯はハンバーグ様だ!」 憂「うん、いっぱい食べてねお姉ちゃん!」 唯「いただきまんもす!」 唯「今日りっちゃんが寝てたらまた先生に怒られてたんだよー」 憂「ふふ、律さんらしいね」 唯「憂、私と付き合ってください」 憂「はい」 ~~~ 唯「えへへへ」 紬「あらあらまぁまぁ」 澪「やだ、キュンキュンしちゃう」 律「まてまてまてまてまてまて」 澪「六回」 唯「え?」 律「お前にはムードってものはないのか」 唯「りっちゃん……ヌードだなんて」 律「ムード!」 澪「お盛んだなー」 紬「りっちゃんもそういうお年頃なのね……」 律「耳腐ってんじゃないの?」 唯「りっちゃん何か文句あるのー?」 律「だから!なんで私が先生に怒られた話から愛の告白になるんだ!」 唯「?だって愛の告白をするためにムギちゃんに相談したんだよ?」 律「そういうことじゃない!」 唯「じゃあどういうことなのー?」 律「だからさー!」 澪「きっと先を越されたから嫉妬してるんだな」 紬「あらやだ」 律「そうじゃなくてー!」 梓「こんにちはー」ガチャ 律「梓!好きだ!私と付き合ってください!」 梓「はい!」 律「つまり唯がしたのはこういうことなんだよ!」 律「……え?」 梓「え?」 律「……梓、私と付き合ってください」 梓「はい」 律「私の恋人になってください」 梓「はい」 律「え?」 梓「はい?」 紬「二人ともおめでとう!」 澪「梓、律をよろしくな」 唯「りっちゃん積極的ー!」 梓「そんな皆さん……照れちゃいます」 律「……」 紬「じゃあ唯ちゃんと憂ちゃん、りっちゃんと梓ちゃんのお付き合いを祝ってティータイムにしましょう」 唯「そんなこともあろうかと憂を呼んできました!」 憂「こんにちはー」 唯「憂聞いてー、りっちゃんとあずにゃんが恋人同士になったんだよー」 憂「おめでとうございます!」 梓「えへへ……ありがとう、憂」 律「え?……え?」 … 憂「お姉ちゃん、はいあーん」 唯「あーん……おいひー」 紬「天国!天国!」 澪「何だか私も恋人ほしくなってきちゃった」 紬「み」 澪「ないわ」 紬「……」 梓「律先輩……あーん」 律「梓、何で私の告白オーケーしたんだ?」 梓「え?だって私……律先輩のこと好きですから」 律「やだ、キュンキュンしちゃう」 終わり。 戻る
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律「……と、こんな台風の日に、校舎に取り残された生徒を その鉈を持った少女の怨霊が次々と惨殺していったっていう話だ」 澪「ミミミミエナイキコキコエキコキココ」ブクブク 梓「だ、大丈夫ですか、澪先輩! 律先輩! なんて話するんですか!」 律「いやぁ、台風で帰れなくなった美少女6人。時刻は午後6時。 こんなシチュエーションを生かすためのレクリエーションというか、あはは」 紬「わたし、こんな風に台風で学校に友達と取り残されるのが夢だったの」 和「なんでそんなピンポイントな夢なのよ。でもそうね、たしかにワクワクするわね」 唯「あ、憂からメールだ」 澪「憂ちゃんは雨風酷くなる前に無事帰れたみたいだな」 律「お! 澪ふっか ゴス 痛い!」 唯「あと1時間くらいで弱くなるらしいよ、台風」 律「よし、ならば1時間にわたるとっときの長編怪談を ゴス 痛い!」 唯「あ、そうだ和ちゃん。今日おうちにひとりでしょ? 憂の料理食べてってよ」 和「そうね、お邪魔じゃなかったら、久しぶりにおよばれされようかしら。 ところでなんでうちの事情知ってるのよ」 紬「デ、デザートは!? 憂ちゃんなの!? 唯ちゃんなの!? そそそれとも、の☆ど☆か?」 梓「わけわかりません、落ち着いてください紬先輩……ってあれ?」 フッ 澪「ひいぃぃミエナイキコエナ……あれホントに見えないぞ? バンザーイ」ブクブク 律「澪! 錯乱しながら気絶するな!」 和「停電、ね。風で電線が切れたのかしら?」 律「……なんだか嫌な予感が」 梓「しますね」 律「おおおい梓! 私か? 私のせいなのか?」 梓「律先輩があんな話するから、こんな推し量ったかのような事になっちゃったんですよ」 紬「和ちゃん。こう部屋が暗くなると、なんだか変な気分にならない?」ハァハァ 和「なりません。落ち着きなさい」 律「これ、絶対出るよなぁ……鉈少女……いや、自分で言っておいてなんだけどさ」 梓「と、とにかく、この部室から出ないようにしましょう。停電なんてきっとすぐ終わりますよ」 律「梓、それフラグじゃないよな?」 梓「! あわわ」 唯「あれ?」 律梓 ビクッ 唯「今どこかで悲鳴が」 律「な、なーに言ってんだよ唯! こんな風強いんだから、悲鳴なんて聞こえるわけないって!」 梓「そ、そうですよ! 風、そう! 風の音ですよ!」 澪「う、うーん、何?」 梓「澪先輩、パニクって部室から飛び出さないでください。 もう私一人で帰るとか言い出さないでください。 それが出来なければおとなしく気絶したままでいてください」 澪「……」ブクブク 和「あ、そうだ」 律梓 ビクッ 和「生徒会室に鞄置きっぱなしだったわ。ちょっと取ってくるね」 律梓「おおぉうい!」 和「な、なによ」 律「和! 聞いてただろ!? さっきの怪談!」 梓「それにこの台風! 停電!」 和「まぁ確かに状況は似てるけれど、でも律。あれ作り話なんでしょ?」 律「さっきまではそうだったけど、なんだか変なスイッチ押しちゃったかもしれないでしょ!?」 和「なによそれ」 梓「せ、せめて明かりがついてからにしてください」 和「大丈夫よ梓ちゃん。すぐ戻ってくるから」 律「ああぁぁぁぁもおうぅぅぅ」 和「非常灯もついてるだろうし、同じ校舎内でしょ。目つぶってたっていけるわ」 梓「あぁぁ和先輩はこれ以上しゃべらない方がいいです」 紬「和ちゃん。おいしい紅茶煎れておくから早く戻ってきてね」 梓「紬先輩も黙ってください!」 和「ありがと。じゃあ私生徒会室行くね」 唯「いってら~」 和「あ、そうそう唯」 唯「なぁに、和ちゃん?」 和「憂の手料理、楽しみだわ」 梓(はい死んだー。和先輩死んだー) … 和(停電だったからかしら? なかなか鞄が見つからなかったわね) 和(少し遅れちゃったわ。早く戻らないと) 和「あれ?」 和「廊下の奥に、誰かいる……」 … 律「……」 梓「……」 紬「……和ちゃん、おそいね」 唯「……」 澪「ブクブクそうだなブクブク」 律「なぁ、梓……」 梓「……なんですか」 律「やっぱり、わたしのせいなのかな?」 梓「今となってはどうしてこうなったかなんて、わかりませんよ」 律「それでも、和の死亡フラグをひとつでもへし折っていれば!」 梓「あんなへし折る隙もなく立て続けるなんて予想外ですよ……。 ……せめて、私がもっと強く引き留めていれば……」グス 唯「大丈夫だよ」 律梓紬澪「!」 唯「和ちゃんは、大丈夫」 紬「唯ちゃん……」 律「……そうだな。今は和の無事を」 梓「祈りましょう!」 ガチャ 律梓紬澪 ビクッ 和「ただい……なにこの空気。停電だからって気分も暗くなっちゃ駄目でしょ」ケラケラ 唯「お帰り和ちゃん!」 和「ただいま、唯。遅くなってごめんね。なぜか鞄が見つけにくかったのよ。 そろそろ風も弱くなってきたし、帰れそうね。憂の料理が楽しみだわ」 律「おい! 和!」 梓「なんで生きてるんですか!?」 和「なにふたりとも。私が生きてたら悪いの?」 梓「す、すみません……でも」チラ 律「だって、なぁ……」チラ 紬「和ちゃん。廊下も暗かったでしょう? 大丈夫だった?」 和「非常灯あったし大丈夫だったわ。あ、そうそう」 和「途中で何か持ってる子に会ったけれど、あの子も帰れなくなった生徒かしら」 律「! なぁ和。その持ってるって、鉈、とかじゃないよな」 和「そういえば鉈にも見えたわね。でも急いでいたからスルーしちゃった。悪いことしたかしら」 梓(死亡フラグも) 律(スルーした……だと?) 唯「ふたりとも和ちゃんを甘くみちゃだめだよ」 唯「和ちゃんのスルー力はホントすごいんだよ~」 和「ふふふ。おかしなこと言うのね、唯」 唯「和ちゃんってば、今までもいろんなおつきあいフラグをスルーしてきたんだよ。 これからもきっとスルーし続けて一生独身だよ~」 和「ふふふ。オカシナコト言うのね、唯」ギリギリギリ 唯「い、痛いよ和ちゃん!」 澪「おしまい!」 戻る ※立て逃げ・乗っ取り
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律「おーい、憂ちゃん」 憂「……あ、律さん、おはようございます」 律「どうよ、調子は?」 憂「………いつも通りって感じです。でも、全然大丈夫ですよ!」 律「……うん、そっか」 いつも通りの、力のない笑顔。張り付いたような笑顔。 私はもうここ数ヶ月、憂ちゃんの満面の笑みを見ていない。 律「……憂ちゃんは偉いよな」 憂「いや、本当に大丈夫なんです! 律さん、いつも有難うございます! あ、今日も部活頑張りましょう! それじゃ、また放課後に!!」 律「お、おぉ……」 憂ちゃんは、1年生の教室の方向へ走って行った。 随分と汚れた彼女の上靴。私のと比べれば、随分と灰色がかっている。 その後ろ姿を見ながら、今日も一日が始まることを嫌でも実感する。 放課後 律(今日は私が一番最初って訳か……珍しいな) いつもは澪や憂ちゃんが先に来ているのだが…… 澪「おっす、律」 律「おぉ、澪。あたしより遅いなんて、珍しいじゃん」 澪「いや、ちょっと追試が……な」 律「あぁ、そっか。澪ちゃん、勤勉だけど要領悪いもんな~」 澪「う、うっさい! 仕方ないだろ、私は全力尽くしてるんだから!」 律「ははは、冗談冗談。じゃ、梓と憂ちゃんが来るまでダラダラすっか」 澪「……あのさ、律」 律「ん?」 澪「練習より前に、私たち、するべきことがあるんじゃないか?」 律「……………」 澪「わかってるんだろ?」 律「……でも、どうしようもないじゃん、あれは」 澪「でも! どうにかしないと、このままじゃ憂ちゃんが唯と同じ道を辿ることに」 律「じゃ、あれか? 私たちが身代わりにでもなるか? 1年生の教室まで行って? いちいち現場取り押さえて、憂ちゃんをいじめてる1年坊をしばくか?」 澪「そ、それは……」 律「無理だろ、そんなの。今私たちに出来ることは、軽音部っていう居場所を提供してやることくらいだ」 澪「……………」 律「まぁ、納得いかないのもわかるけどさ。けど、憂ちゃんだって憂ちゃんなりのプライドがあるだろ。 憂ちゃんが助けを求めてきたら、あたしたちが手を差し伸べれば良い。 けど、その前にしゃしゃり出てくのは、憂ちゃんのなけなしの自尊心が、傷ついちまうだろ」 澪「……ごめん」 律「謝んなよ。あたしだって、何かしてやりたいって気持ちは十二分にあるからさ」 ― ―― ――― 律「おっす、梓」 唯「あずにゃーん、ちゃおー」 梓「あ、り、律先輩、唯先輩! お、おはようございます!」 唯「? あずにゃん、もう3時だってことは、私だってわかるよ~」 梓「!? す、すみません、こんにちは!」 律「どうしたんだー、梓ー? 何か顔微妙に赤いし。何かあったのか?」 梓「べ、別に何もありませんよ! さぁ、練習練習!」 唯「あれ? あずにゃんの鞄の上に置いてあるの、何?」 律「お、まさか、私たちへのバレンタインチョコ? 照れるねぇ、良い後輩だねぇ?」 梓「………ま、まぁそうですけど」 律「ほぅ~、あたしたちにチョコをあげるということだけでも、こんなに照れてしまう中野梓さん、もしかして梓ってレz……」 梓「そ、そんな訳ないじゃないですか! ただ、何となく緊張しちゃっただけです!」 唯「あずにゃん、か~わい~!」 梓「だ、だきつかないでください!!」 ――― ―― 律(最近またあの夢を見るようになってしまった……) 律(相変わらずあっちの世界は幸せそうだな……羨ましいぜ) 律(こっちは問題が山積してるっつうのに…) 律(………まぁ、前よりはマシなのかな…) 律(……もっとひどくなってるかも知れない…) 律(でも、澪に言って余計な迷惑かけたくないし……) 律(………どうしたもんか) 放課後 梓「律先輩、おはようございます」 律「お、梓、おはよ」 梓「……珍しいですね、律先輩が率先して練習してるなんて」 律「………ドラム叩いてる時は、余計なこと考えずに済むからな」 梓「ま、そうですね……私も練習しよっかな」 律「そういや、梓」 梓「何ですか」 律「この頃外バンの方はどうなってんの?」 梓「な、何でそんなこと聞くんですか?」 律「だって、お前外バンの練習があるから、週2・3日しか出てこれないって言ってたじゃん。でも、最近毎日部室来てるだろ」 梓「……それは、色々こっちにも事情があるんです」 律「そっか。なら良いんだけど。お前が練習出てきてくれるのは、嬉しいんだけどさ」 律「無理すんなよ」 梓「……………心配しないで下さい。全て、順調ですから」 律(この子、嘘つけない子だよな) 律「じゃ、今日はここら辺でやめにすっか」 澪「律、最近どんどん上手くなってるんじゃないか? 全然ドラム走ってないし」 律「あー、まぁ、それ相応に練習してるからな」 憂「そうですね! 私ももっと練習しないと、置いてかれちゃうかも」 律「どの口がそんなことおっしゃる、ギター始めたの3ヶ月前なのに、もう人前に出しても恥ずかしくないレベルまで上手くなってんじゃん」 梓「へー、憂がギター始めたのって、3ヶ月前なんですか? てっきり中学からやってるものかと……」 憂「へへへ、実はお姉ちゃんが練習してたの、ずっと聞いてたから」 律「え? そうだったの?」 憂「はい! お姉ちゃん、高校始まってすぐにジャズ研に入ったんです。それで、いつも部屋でギター弾いてたんですよ」 澪「そうだったんだ……でも、聞いてただけでそこまで上手くなるとは…」 憂「ギターの教則本とかも読んで、色々研究したしね!」 憂「あれ?」 梓「ん、どうしたの?」 憂「……いや、何でもない………ん、ちょっと忘れ物したから、先帰ってて!」 梓「?」 澪「ちょっと憂ちゃん! もしかして、また」 律「おーっし。澪、梓、帰るぞー」 澪「な、ちょっと律! でも!」 梓「…………」 律「憂、また明日な~」 憂「……はい、皆さん、さようなら!」 梓「……じゃね」 澪「……………」 澪「何でほっとくんだよ、律! あれ絶対、いつもみたいに外靴隠されてるじゃないか!」 律「……お前、逆にあたしたちが声かけたら、憂ちゃんはどう思う?」 梓「…………」 律「憂ちゃんには憂ちゃんのプライドってものがあるんじゃないか? 子供は親にいじめられてることを報告したがらないだろ」 律「それに、あたしたちがあそこで騒ぎ立てたところで、憂ちゃんはあたしたちに負い目を感じるだけだろ」 律「同情されるのが、一番惨めなんだよ」 澪「……でも、私は、少しくらい手を差し伸べてあげても良いと思うけど、なぁ、梓?」 梓「…………ごめんなさい、わからないです。律先輩の言ってることも、澪先輩の主張も、正しいと思います」 澪「……んー」 律「…………ま、あたしたちに出来る最善のことは、毎日部活やって、憂ちゃんの居場所を作ってやることじゃないか」 梓「……そう…ですね」 澪「…………そうなのかな…」 ― ―― ――― 律「おーい、あずさー」 梓「……り、りつせんぱい」 律「練習後に会うなんて、珍しいなー。何してんの?」 梓「わ、わたしは、普通に帰る途中です!」 律「? でも、お前の帰り道って、唯と同じ方向じゃなかったっけ? 私とは正反対の方向のはず」 梓「唐突にアイスが食べたくなって、目に付いたコンビニに飛び込んだら、そこから帰り方がよくわからなくなったんです!」 律(………何か、おかしいな……挙動がいつもと全然違う) 梓「それでは、失礼します!」 律「あ、ちょ、ちょっと、梓」 律(……なんだ、あいつ) ――― ―― 律(……梓って、可愛いよな……、どっちの世界でも) 律(……まぁ、顔が同じだから、当たり前なんだけど) 律(それにしても、いつもの夢と、少し違ったな) 律(……今までの夢とは、関係ない夢なのかね。純粋な、ただの夢) 律(考えても、詮ないけど) 律(……行くか、学校) 律「うっす」 澪「……よ」 梓「こんにちは」 律「あれ? 憂ちゃんは今日休み?」 梓「憂なら……お姉さんの面会に行きました」 律「あ、そっか! そういや今日水曜だもんな」 澪「……裁判、来月だったっけ」 律「確か、そうだったはず」 梓「…………こればっかりは、どうも出来ませんね」 澪「なぁ律! もっと私たちが、積極的に憂ちゃんをサポートしてくべきだよ! これから裁判も始まって、憂のお姉さんの事件がまたマスコミに取り上げられる! そしたら、報道陣だって憂の家に押し掛けるはずだ。 憂に対するいじめだって、まだ続いてる! 恐らくこれからも続くよ! なら、こっちから憂ちゃんの話を聞いてあげるべきじゃないのか?」 律「………………正直、あたしにもわからん」 律「この話は、やめにしようぜ」 澪「なんで、でも、憂ちゃんが居ない今の内に話しといた方が!」 律「………………個人個人が、したいようにする。それで良いんじゃないか? あたしたちで意思統一図らなくても、別にいいだろ。 あたしはあたしのしたいようにする。それは澪も然り、梓も然り。 それで良いんじゃないか?」 澪「………でも、部活のみんなでケアしてあげた方が、」 律「うるさい」 澪「! …………」 梓「さ、練習しましょ、練習! 話しててもキリがないですから、ほら!」 律「……そだな、練習しようぜ、澪」 澪「………………」 律(……やべー、最近雰囲気悪いな) 律(憂ちゃんが居たら、澪が過剰に憂ちゃんを気遣っちまうし) 律(梓は周囲の空気読むので必死だし) 律(梓自身も、外バンあんまし上手くいってないみたいだしな) 律(……………ここは、部長として、どうにかするべきなんだろうが) 律(……自分の身に置き換えると、憂ちゃんには余計な干渉はしないのが吉だと思える) 律(私自身、ひとりぼっちだった時、同情されることが一番むかついたからな) 律(でも、それはあくまでも私の話だし……) 律(………全然わかんね) 律(……田井中律さん、あんたなら、こんな時どうするよ…) ― ―― ――― 律「おい、梓」 梓「何ですか、先輩」 律「お前、あたしに何か隠してないか?」 梓「かくしてないか、と言いますと?」 律「ほら、昨日! お前あたしと会ったとき、すっげぇ挙動不審だったろ」 梓「きのうあったとき? 部活のことですか?」 律「違う違う! 昨日、部活終わって家帰る時に、お前あたしと会ったろ! 私と帰る方向全く違うのにも関わらず!」 梓「………え?」 律「え? じゃないよ! もー中野さんったら、先輩に嘘ついちゃいけまちぇんよ?」 梓「いえ、律先輩のおっしゃる通り、私と先輩の家は逆方向ですから、会える訳がないじゃないですか」 律「へ? お、お前だってコンビニがどうとか」 梓「? それに、私は昨日唯先輩と帰りましたから、唯先輩に聞いて頂ければわかるはずですけど」 律「……マジで?」 唯「何話してるの、あずにゃん、りっちゃん」 梓「律先輩が、私と昨日帰り道で会ったって言うものですから」 唯「うーん……それはないと思うなー。だって、あずにゃんはわたしと帰ったし」 律「?? ん……そうなのか…でも、あたしは確かに会ったんだよな、昨日の帰りに……」 唯「りっちゃん、きっと疲れてるんだよ! いろんなことに!」 律「色んなことって何だよ……もう学祭も3ヶ月前だぞ。練習もいつも通り適当な感じだし……疲れる要因なんて、ありゃしないよ」 梓「適当な感じじゃ駄目なんです! さぁ、練習しましょう!!」 唯「えー、ケーキは~?」 梓「駄目ですよ! 澪先輩と紬先輩、今日掃除当番やら日直やらで遅いらしいじゃないですか! 私たちだけでも、早めに練習しましょう!!」 唯「あずにゃんきびしいー」 梓「これが普通です!」 律「………………」 ――― ―― ― 律(……わからん、よくわからん) 律(………引っかかるっちゃ、引っかかるけど) 律(……いいや、こっちには考えることが沢山あるし) 律(……………学校行こ) 憂「律さん」 律「………お、憂ちゃん。おはよ」 憂「律さん、もしかして、私、軽音部に御迷惑かけてます?」 律「え? い、いや、全然そんなことないよ、マジで」 憂「…………いや、何か気を遣わせてたら嫌だな、と思って」 律「余計なこと考えんなって。むしろ昨日は憂ちゃん居なかったから、大変だったんだぜ 澪のベースもあたしのドラムも下手だし、梓はまぁまぁだけど、憂ちゃんには及ばないからな 今日は来てくれよ、憂ちゃん」 憂「……は、はい! わかりました」 律「あと、憂ちゃん」 憂「?」 律「もし何かあったら、力になるから」 憂「…………」 憂「………ありがとう、ございます」 律「んじゃ、また放課後に」 律(おっし、4限終了した! この昼飯時だけが楽しみで、毎日生きてるようなもんだからな!) 澪「り、律」 律「うぉ! びっくりした! なんだ澪か……どした? 何か用か?」 澪「お、お昼御飯、一緒に食べない?」 律「へ? だって澪、お前文芸部の連中と一緒に食べてたんじゃなかったっけ?」 澪「……ちょっと、色々あって」 律「……………じゃ、部室でも行くか」 澪「……うん」 律「そういや、あたし誰かと一緒に昼飯食べたのとか、中学の時以来かも知れない」 澪「え、いつも教室で一人で食べてるの?」 律「そうだけど?」 澪「…………そうなのか」 律「何ですかその憐れみの目は! 人間慣れれば何だって可能になるんですよ! むしろ今あたしが澪と食べてるってことの方に違和感感じるわ!」 澪「中学までは、一緒に食べてたのに」 律「あーら、あたしから離れてったのは、澪ちゃんじゃありませんこと?」 澪「………ごめん」 律「いや、いいから! 湿っぽくならなくて! んで、どしたのよ、わざわざあたし誘うってことは、何かあったんだろ?」 澪「……うん、ありがと」 澪「最近、妙な夢を見るようになって」 律「…………ついに澪も見るようになってしまったか」 澪「……多分、4ヶ月くらい前に律が言ってたのと同じ感じの夢」 律「幸せそうなあたしたちが、軽音部で幸せそうにしてる夢だろ?」 澪「うん……メンバーは、私と律と梓、あとは憂ちゃんみたいな人と、どこかで見覚えある人が居る。憂ちゃんは居ない」 律「憂ちゃんみたいな人は、憂のお姉さんの唯で、残りの1人は、学祭延期の原因となった、琴吹さん」 澪「!? 琴吹さんって、あの琴吹さん? そう言えば、どこかで見たことあると思ったら……」 律「まぁ、学校全体の葬儀もやったし、新聞にもばんばん出てたからな」 澪「………でも、憂のお姉さんと琴吹さんって」 律「はいはーい、そこらへんで終わりにしとこうね、澪ちゃん。 夢はあくまでも夢だから」 澪「でも、一時期、律あれが本当のことだー、とか騒いでたじゃん。 私も、あの夢は他の夢と何か違う気がするんだ」 律「……いや、夢は夢だろ」 澪「夢から覚めてもはっきりと覚えてるし、細部がやけにリアルなんだ」 律「そ、そんなことより澪、文芸部の奴らは大丈夫なん? 一緒に飯食ってたんだろ?」 澪「文芸部? あぁ……辞めた」 律「やめた? お前、掛け持ちしてるって言ってたじゃん!」 澪「軽音部入ってから、居づらくなって……」 律「そうなのか……知らなかった」 澪「……まぁ、私が言ってなかったからな。言うの恥ずかしかったし」 律「……………何か、ごめんな」 澪「……いや、律が謝ることないよ。軽音部に入ったのは、私の選択だし」 律「………………」 澪「……帰るか、教室」 律「…………あぁ」 澪まであの夢を見始めた。 ということは、梓や憂ちゃんも見てると考えるのが自然なのかな? でも、憂ちゃんは夢の中には出てこない……いや、あっちの世界で会ったっけか。 梓と憂ちゃんが夢を見ている可能性も、大いに有り得る。 でも一体、あの夢を見る条件ってのは一体何なんだ? 私は、あっちの世界から帰ってきてから、少しの間あの夢を見なかったけれど、暫くしてまた見るようになった。 ……ということは、澪や梓、憂ちゃんがあっちの世界に行きたくなる可能性もある、という訳で。 また唯の二の舞踏ませない為にも、しっかり対策しないとな。 何故私が対策しなけりゃならないかは、分からないけどさ。 4ヶ月前からの一連の流れで、気を配らなくても良いところまで配ってるな、私。 もう少し、気を楽に持つことにしよう。 そうじゃないと、また変な気を起こすことになる。 2
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澪「そうさくいよくが ふつふつと わいて きた」 澪「うおお かくぞ むぎの しんきょくに まけて られない」 梓(どれどれ まえの ように なってないか みて おかないと) 梓(うん こんどは だいじょうぶ いつもの あまい かし) 梓(それにしても あまったるい みてるだけで むねやけ してきた) 梓「むぎせんぱい おちゃ おかわり いいですか」 紬「はーい、ただいま~」 澪「うおお」 紬「いくら澪ちゃんの頼みでもそこは譲れません」 澪「そんなこと いわずに おねがい しますよお むぎさあん」 梓「澪先輩は何をへつらってるんですか?」 唯「会心の歌詞が書けたから、曲を歌詞にあわせて手直ししてほしいんだって」 律「きょくづくりは ふたりに まかせてるけど こんなふうに もめるのは はじめてだ」 律「こりゃあ あれるぞ」 梓(確かに…音楽のことでこんなに熱くなるなんて軽音部らしくない…) 梓(……あれ?) 澪「いやあ ほっと した」 紬「ほつれた糸たちが一本に紡がれるように……今、新曲が完成したわ!」 唯「つむぎだけに!」どやあ 梓「唯先輩……」 梓「でも本当に凄いです!澪先輩の詞とムギ先輩の曲、二人の音楽がぴたりと合わさって…!」 律「ああ これは えいちてぃーてぃーの」 律「いや けいおんぶ しじょう さいこうの きょくと いっても かごん ではない」 律「ようし もえてきた さっそく れんしゅうだ」 一同「おー!」 律「まて まつんだ みお」 澪「うわあん わたし もうだめ さがさないで ください」だっと 唯「澪ちゃん…?あんなに張り切ってたのにどうしちゃったの…?」 紬「……多分そのせいよ…」 紬「最後のライブだからって張り切る分だけ、不安や緊張も大きくなってるのよ…」 梓「なるほど…」 唯「ねえ、私たちも探しに行った方がいいんじゃない…?」 紬「……いいえ、ここはりっちゃんに任せましょう」 梓「…いいんですか?ムギ先輩…」 紬「………」 律「みお みつけた」 澪「りつ りつ どうしよう」 澪「こわいんだ こんなに ふあんに なったのなんて いままでに なかった」 律「じしんが ないのは しっていたが これほどとは」 澪「ううう」 律「しようの ないやつだ ほら」なでなで 澪「りつ」 律「わかるか わたしは ここにいる」なでなで 律「わたし だけじゃない むぎも ゆいも あずさも いるんだ」なでなで 律「じしんが ないのは もう しようがない なら なかまを しんじて もっと きらくに やればいい」なでなで 澪「りつ うん そうする そうするよ」 澪「だから もうすこし このまま」 律「ああ」なでなで 梓「いよいよライブ本番……今日は頑張ろうね、むったん」 律「あずさも ぎたーに なまえ つけてるのか」 梓「そうですよ」 唯「その方が可愛いもんねー、ねえギー太!」 澪「あいちゃくが わいて いいぞ なあ えりざべす」 紬「面白そう!私も……そうね……キー坊にするわ!」 律「むぎまで」 梓「律先輩はどうしますか」 律「わたしか わたしは えっと ええっと」 律「どらむったん」 梓「微妙にパクられた!?」 澪(かいじょうを うめつくす ひと ひと ひと) 澪(それも もう こわくない わたしには なかまが いる) 澪(りつの どらむは きょうも はしる だが きょうの ふんいきに ぴったり ここちよい はやさ) 澪(むぎは きょうも たのしそう みてるだけで こっちまで うきうき してくる) 澪(ゆいは ぼーかるも えむしーも きれっきれ やはり てんさいの たぐいか) 澪(あずさ ちょっと きんちょうぎみ でも その じつりょくは たしか) 澪(つぎなるは おまたせの しんきょく かいじょうの もりあがりは さいこうちょう) 澪(こうよう とうすい そして ねっきょう) 澪(わたしと ばんどと かんきゃくと すべてが いったいと なって ましろな ひかりに のみこまれていく かんかく) 澪(きっと いっしょうの うち この いっしゅんにしか あじわえぬ) 澪(ああ) 澪(おんがく やってて よかった) 澪(いきてきて ほんとうに よかった) 澪(こうして こうこう さいごの らいぶの まくは おりたの だった) 紬「打ち上げはモツ鍋よ~」 澪「なぜ もつ」 紬「順番だったからよ~」 梓「順番…?」 唯「ムギちゃん!ご飯はあるの!?」 紬「たっぷり炊いておいたわ~」パカッ フワッ 唯「ぃやったあ!乾杯しよう!乾杯!」 律「かんぱい ちゃわんで やるのかよ」 唯「そうだよ!ほらみんな、お茶碗持った?それじゃあ……今日はお疲れ様でした!乾杯!」 一同「乾杯!」 澪「やつが くる」 澪「おぞましい ぎょうそうで すそを はく しの あくま」 梓「何ですにゃんいきなり」 唯「やつは数字を見せつけ私を追い詰めてくる……恐ろしい…!」 梓「唯先輩まで…やつとは一体…?」 さわ子「みんなお疲れー……って何で鍋!?」 澪「ひいっ」 唯「ひゃああ」 梓(やつとはさわ子先生のこと…?) 紬「先生、こちらにどうぞ~」 紬「先生もゆっくりしていってください~」 さわ子「モツ鍋で打ち上げも乙なものね」 さわ子「でも、こうなると一杯やりたくなるわね…」 紬「日本酒でいいですか~?」 さわ子「悪いわね……って何でお酒用意してるの!?」 紬「モツを煮るのに使ったんです~」 さわ子「なるほど」 紬「まま、お一つ~」 さわ子「おっとっと」 律「さわちゃん がっこうだぞ ほんとうに のむのかよ」 さわ子「こんな日だもの、いいじゃない」 律「この よっぱらいは」 唯「さわちゃん寝ちゃったね」 紬「裏方として奔走してくれたんだもの…もうしばらく寝かせておいてあげましょう」 梓「そうですね」 澪「ちょうどいい さわちゃんが おきるまで みんな わたしの はなしを きいて くれないか」 梓「何ですにゃん改まって」 澪「むかしの はなしだ なあ りつ いいだろう」 律「そうだな ころあい かも しれないな」 紬「二人の昔の話なの?」 澪「ああ あれは ちゅうがくに はいりたての ころ だった」 律『キャラつくっていこうと思う』 澪『何だよ藪から棒に』 律『中学生になったら音楽やろうって話してたろ』 律『折角だから音楽性に合わせたキャラ付けしようと思って』 澪『まだ始めてもいないのに……で、どんなキャラにしたいんだ?』 律『こんな かんじで いこうと おもう』 澪『!?何その古いゲームみたいなの』 律『ようし そうと きまったら おんがくしつに なぐりこみだ』 澪『お、おい待て律…っていうかそれ音楽関係ないだろ!?』 律『いくぞ うおお』だっと 澪『律ー!?』 澪『律……』 律『ちくしょう あいつら ばかに しやがって』 澪『当たり前だろ…そんな変な1年が入って来たら…』 律『くそう くやしい くやしいよ みお』 澪『…とりあえずそのキャラやめる気は無いのか?』 律『いまさら ひけるか このままで びっぐに なって あいつらを みかえして やる』 澪『馬鹿律…』 澪『しょうがない わたしも つきあって やるよ』 律『みお いいのか おまえまで』 澪『ばかな りつに つきあえる ばかは わたし ぐらいの ものだ からな』 律『みお』 澪『だが もし ほかに こんな ばかに つきあえる やつが あらわれたなら』 律『ああ そのときは きっと』 澪「これが わたしたちの るーつだ」 梓(このキャラが律先輩の浅い思い付きだったとは…) 律「いやあ ちゅうがくじだいは あんこく だったなあ」 梓「ほぼ自業自得じゃないですか…」 律「なんだと なかのー」 紬「さすがに私もそう思ったわ…」 律「むぎまで」 律「ゆい ゆいは わかって くれるよな」 唯「え?なんだって?」ぱく!ぱく! 律「めっちゃ ごはんが すすんどる はなし きいて なかったのか」 唯「ちゃんと聞いてたよ~」ぱく!ぱく! 唯「でもさ」 唯「どんな苛烈な過去があったとしても、私には変えられない」 唯「私にできることといったら……今!一緒に楽しくご飯を食べることだと思うのです!」ふんす! 梓「唯先輩…」 澪「ふふっ ちがいない」 律「まったく ゆいには かなわねーな」 唯「だからほら、みんなもう一度お茶碗持って!……軽音部に!」 一同「乾杯!」 澪「なあ りつ」 澪「私たちは本当にいい仲間に恵まれた」 律「ああ みお」 律「今、最高に幸せだ」 紬(りっちゃん……澪ちゃん……) 澪「しろつめくさ しろつめくさー」 梓「なんですにゃん みおせんぱい のぐそでも なさるの ですか」 澪「あずさ」 澪「よつばの くろーばーを さがして いたんだ」 梓「ふうん それなら ほれ わたしの あしもとに」 澪「でかした あずさ これで いつつ そろった」 梓「そんなに あつめて よくばりな」 澪「いいや これは おしばなにして みんなに くばる ひとつは あずさの ものだ」 梓「わたしに」 澪「もうすぐ わたしは そつぎょうして いなくなる しかし わたしの おもいは ここに」 梓「みおせんぱい」 梓「……澪先輩……卒業したらヤです……」 澪「らいねんは ういちゃんと すずきさんと いっしょに やるんだろう」 澪「わたしが いうのも なんだが あずさが しゃんと しないと」 梓「はいです…」 澪「わっー」 紬「……?」 紬「あっ!わ、わー、驚いたわ~…」 澪「ふふふ おどろいたか これで いままで おどろかされたのと おあいこだ」 紬「そ……そうね……」 紬「………」 紬「……ねえ、澪ちゃん」 澪「なに」 紬「…りっちゃんをとっちゃった私のこと……どう思ってる…?」 澪「にくい しっとの ほむらが わたしの さんずいを ゆに かえる」 紬「そう……そうよね……」 澪「そんな むぎに これだ」 紬「これは…!?」 澪「おしばなを つくった むぎに やる」 紬「私に…?憎い私にどうして……」 澪「まえに むぎが いったろう すきなものが おなじなら なかよく できるって」 澪「けーきが すき おかねが すき おんがくが すき」 澪「りつが すき」 澪「にくい こいがたき でも それいじょうに たいせつな ともだちだ」 紬「澪ちゃん…」 紬「……本当は私もずっと嫉妬してた……私の立ち入れない二人の絆に……」 紬「だから澪ちゃんを驚かせて意地悪して……なのに…ごめんなさい……私……」 澪「しってた そして それは さっきので おあいこと いったろう」 紬「澪ちゃん…」 紬「この押し花…一生大事にするね……」 澪「うん」 澪「りつ ぱんつを みせてくれ」 律「いいよ ほら」 澪「い いいのか」 律「いろいろ がんばって くれた からな ごほうびだ」 澪「そうか ふひひ じゃあ さっそく 梓「どれどれ…うわっ臭そう」 唯「りっちゃんのくせに可愛いぱんつ履いてるー生意気!」 紬「私、みんなでりっちゃんのぱんつ見るのが夢だったの~」 律「な なんだ なんだ みんなして」 澪「そうだぞ わたしの ための ぱんつ なのに」 澪「ふふふ でも なんだか こういうのも たのしい」 澪「みんなで ばかな ことして さわぐの たのしいな」 律「その いわれかたは しんがいだ わたしの ぱんつ なのに」 澪「ふふ おこるな りつ」 澪「やっぱり けいおんぶ さいこう だな!」 終 戻る
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発端=ニュータイプ新作絵} 345 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/01/07(木) 00 41 45 ID 18nNG2zc} でもりっちゃんベストパーカニスト} 346 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/01/07(木) 00 43 05 ID 6SmFK/UG} よし俺もパーカー買ってこよう} 349 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/01/07(木) 00 50 06 ID VcLju5yR} 律「ぱーか!ぱーか!」} 350 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/01/07(木) 00 52 15 ID QFDL9dq9} 唯「りっちゃんが半濁音しか発音できない病気にかかっちゃったよ!」} 352 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/01/07(木) 00 53 55 ID 6SmFK/UG} 律「ト゜ラム最高!」} 唯「りっちゃんが半濁音しか発音できない病気にかかっちゃったよ!」 澪「な、なんだって!それは日常的に不便じゃないかっ!」 紬「ああ、澪ちゃん!そんなに濁音のある単語ばっかり使ったらりっちゃんが可哀想よ!」 唯「聡くんがそれ聞いて爆笑したんだって!結構ショックだったみたいだから!」 澪「ああ」紬「わかったわ」 唯「あ、りっちゃんが来るよ。みんな気をつけて」 律「やっほーみんなー。先生に居残りさせられてさー」 唯「遅いよりっちゃーん。もーダm…いけない子っ♪」 澪「ほら、もうお菓子あるからな。早く食って練習d…しないと!」 紬「今お茶入れるわねー」 律「お、さんきゅー。んー♪今日のお菓子美味しいなー」 唯澪紬(……あれ?) 澪「ほ、ほら律。これやるよ、苺」 唯(澪ちゃん!) 律「お、ありがとー。うん、美味しい美味しい♪」 紬(…もしや…) 紬「今日はダージリンにしてみたの。どう、りっちゃん」 唯(ムギちゃんも!?) 律「お、そうなのか?いやー、いつもとち…いつもより変わったお茶とは思ったよ」 唯澪紬(……笑われないように無理…してる…!!) 梓「ふぅー、遅くなってすいません。掃除があったんで」 律「遅刻すんなよー"あちゅさ"(梓)!」 唯澪紬「ブフッ!!」 律「! ………うわぁぁぁああ!」ダッ 梓「………はい?」 唯「りっちゃん… あちゅ…ふふっ」 澪「だ、ダメだろ唯…笑っくくく…」 紬「そ、そうよ……ぷ…」 梓「……律先輩泣いてましたけど何かあったんですか」 唯「…あずにゃんの名前のせいで…りっちゃんは泣いたんだよ」 梓「…はい?」 唯「"はい?"じゃない。あずにゃんが泣かしたのは事実…追いかけないとっ」 梓「いや、現状がよく…」 紬「りっちゃんは屋上にいるわ」 澪「レーダー!?いつの間に」 唯「こうしちゃいられないぜ、あずにゃん!」 梓「…えと、要は連れ戻せ、と」 紬「これ、付けていって。耳に入れると送受信の出来るスグレモノよ」 澪「……どこの海外ドラマだ」 唯「ほら。あずにゃん、行かないとっ」 梓「え、あ、はい…送受信出来るなら、少しは手助けしてくださいよ?」 唯「あたぼうよっ!ほら、レッツゴー!」 梓「ちょ、押さなバタンッ!! 紬「はい。これ唯ちゃんと澪ちゃんの分♪」 唯「……で、一番笑った人は?」 澪「………一番笑わなかった人に1日従う…ってのは?」 紬「オッケー♪んじゃ屋上のカメラ映しましょうか」 澪「……学校で何も出来ないという事を今日理解したよ」 キィィィィ.... 梓「りつ…先輩?」 律「……なんだ…あちゅ…あちゅさか」 * 唯澪「ブッ!!」 紬「2人ともアウトー」 唯「だ、だって……言い直し…ふふっ…」 * 梓「泣いてるじゃないですか。ほら、ハンカチ」 律「…さんきゅ」 梓「…唯先輩は私のせいで泣いてるって言ってましたけど、何があったんですか」 律「……いや、何も無いよ。お前の名前は悪くない」 梓「…そう、ですか…」 * 唯「必死に敬遠して喋ってるね、りっちゃん」 澪「こういうのはあいつ、機転利くから…」 唯「『あずにゃん!そっと肩抱いて!』 * 梓(え、ええええっ ……こ、こーかな…)ギュッ 律「!? な、何すんちゃあちゅさ!」(何すんだ梓) * 唯澪紬「ブフッ!!」 澪「ぜ、全員か…」 紬「方言みたいになっちゃった…」 * 梓(え、えと…何か言わないと) 梓「律先輩、後輩の私に甘えるのも大事だと思いますよ」 * 紬「――――」 澪「?なんか笑いとは違う反応が…」 * 律「う、うるさいなっ。いーの、私は甘えない人なんちゃ!」(なんだ) * 唯「あはははははっ」 澪「ここに来て一番の大笑い…」 * 梓「…なんちゃ、とか何ですか、それ」 律「っ! 何もない!空耳ちゃっ!」(空耳だっ) * 唯「あははっ…ははっ…ひぃひぃ…」 紬「はい、お水」 * 梓「!! 空耳なんかじゃないです!…もしかしてそれ原因ですか!」 律「ち、ちきゃうって!(違うって) あちゅさ(梓)には関係ない!」 * 唯「ごぶふっ!!」 澪「…律の椅子がびっちゃびちゃだ」 * 梓「いいえ嘘ですね!唯先輩は言ってました。"あずにゃんの名前が原因だ"って!」 梓「何があったのか知りませんが、妙に回ってないろれつが原因なんですね!」 律「ち、ちきゃ…」 梓「…………何でですか」 律「ふぇ?」 梓「…何で、私にそこまで否定するんですか。嫌いですか。私が嫌ですか」 律「え、い、いや…」 梓「私に心配かけたくないとか、そういうのですか」 律「…そーしぃぉ(そーじゃ)」 梓「そーじゃない、じゃないですっ!そんなのお節介です!律先輩じゃないです!」 律「……」 梓「心配してくれるのは嬉しいです!でも、私ばっかで律先輩の悩みとか聞いた事ないですっ」 律「…ほら、暑くてやりたくなーいとか…」 梓「それは悩みじゃないです!愚痴ですっ!…私じゃ頼りにならないんですか…」 律「……あちゅ…」 * 唯「ふふっ」 澪「…不謹慎」 唯「…だってぇ」 * 梓「…そりゃあ頼りになんないかもですけど…頼りにして欲しいです…」 律「…ごめんな、梓…」 * 澪「ん?」 紬「あら」 唯「…あれ?『あずにゃん、もっかいりっちゃんの名前呼んで!』」 * 梓(………?) 梓「律…先輩…」 律「…梓…」 * 澪「…治った…」 紬「みたいね」 唯「なーんだつまんないのー」 澪「おいっ」 * 律「ごめんな、梓…」 梓「…いえ、私こそ…唯一の後輩がこんな弱音吐いたらダメですよね」 律「そんな事はないさ。唯一の後輩なんだから弱音吐いてもしっかり面倒見てやるさ」 梓「…律先輩こそ、私に言われる前に練習してくださいよ?」 律「何おう、こいつぅー!」 梓「えっ、ちょ、あ、あはははははははははっ!!」 律「喰らえーこちょこちょこちょー!」 梓「や、やめてくだっ…あははははっ!!」 * 澪「ま、律も治ったし一段落だな」 紬「そうね。んじゃ、改めてお茶の用意しましょう」 * 律「……でだ。3人とも」 唯澪紬「…はい」 律「梓の耳に何か入ってたのは分かってた。音漏れもしていた」 唯「ムギちゃん…っ」 紬「まだ開発中だったから…」 律「そこ喋らないっ」 唯紬「は、はいっ」 律「結果的に治してくれたのは感謝しよう。だが、笑い過ぎだ」 唯「だ、だってぇ……」 律「だっても何もないっ!そりゃあ私が悪いさ。不思議な病だったさ!」 澪「…自覚してるなら終わっていい話じゃんか」 律「澪のライブの写真を紙飛行機にしてグランドに飛ばそうか?」 澪「…ごめんなさい」 律「こほん。で、だ。それでも梓をけしかけて…何、笑っちゃいけない24時でもやりたかったのか?」 唯「くっ、くく……」 律「ゆーいー?」 唯「ご、ごめんなさい!これは、思い出し笑いで…」 律「今後、面白半分で人を!特に梓を使わないように!いいかっ!?」 唯澪紬「…はい」 律「よし!んじゃ、お茶にするちょー(するぞー)」 唯澪紬「ブハッ!」 律「って、おいっ!!」 出展 【けいおん!】田井中律は振袖可愛い117【Dr.】 このSSの感想をどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る 最後の最後でふいてしまったww -- (名無しさん) 2010-10-12 21 12 13
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--------------- ----------- ------- 宙域の真ん中にはポツンと佇む白いガンダム コックピットでは金色の眼で何者かと話す金髪の少女 紬「場所は教えてもらったわ、ありがとう」 「・・・」 --------------- ----------- ------- ---澪部屋--- ベッドの中で愛し合う二人は行為を終え、裸で毛布を被り律の腕枕に頭をのせている澪の姿があった 澪「ねぇ律?」 律「ん?」 澪「私・・・律の子供がほしいな・・・」 律「は、はぁ?///」 いきなり何をいうかと思えば、大胆な発言にゆでだこの様な律の姿が出来上がる 澪「えへ・・・だめかな?」 律「いやそもそも、その・・・ついてないし・・・」 澪は慌てふためく律を見ながらおかしそうに笑い、ちょっといじわるをしてみたのだった 澪「あはは、ちょっと言ってみただけだよ、愛の証がほしいなってさ」 律「澪・・・」 律「なにも愛の証は子供だけじゃないだろ?これからも一杯つくっていこうよ」 澪は恥ずかしそうに毛布を鼻の辺りまで引っ張り 小さな声で 真心を込めて うんと呟いたのだった --------------- ----------- ------- 梓「うっ」 憂「梓ちゃんどうしたの?」 梓「なんか知らないけど砂吐きそう」 憂「ふ、ふーん・・・」 ---6時間後--- ---プトレマイオス周辺--- 澪『私・・・律の子供がほしいな・・・』 律(思い出すとはなぢでそう) 梓「律先輩フォーメーションの最終確認したいんですけど」 律(子供っていうのはそういう事か・・・?結婚とか///) 梓「律先輩?」 律(あの容姿端麗な澪が私と結婚とか・・・勿体なすぎるよなぁ) 梓「・・・」 律「ハァハァ」 梓「おいこらデコ」 律「え?何々?」ニマァ 梓(きめぇ・・・悪口いわれたのに笑ってる・・・) この宙域にはダブルオーライザー、ケルディム、アリオスにドッキングした梓のガンアーチャーが ミッションスタートの合図をいまかいまかと待っている状態だ 律「はっいかんいかん」 梓「敵もうそこまできてるんですよ?」 曜子「きましたっ!敵機の中にセラヴィーを発見」 憂「アルケーはいないかぁ」 澪「梓無理するなよ?」 梓「はい、大丈夫です」 ついに指揮官からミッションスタートの号令が入る さわ子「あんた達プランHTTでいくわよ、油断しないでね!」 憂「はいっ」 律「はいよっ」 澪「了解です」 梓「はいですっ」 さわ子「それじゃあ・・・ミッションスタート!」 憂「ダブルオーライザー先行して敵を叩きます」 粒子を噴出させ、一気に戦場に躍り出るとバーサーカーの力と 安定した00ライザーの力で次々と敵機を落としていく 紬「ヴェーダに情報のないツインドライヴ・・・」 紬「そしてクアンタとの戦闘で見せたあの力・・・危険だわ」 そこに狙いを定め、ダブルオーライザーを狙う白いガンダム 憂「わわっ!」 アラートに反応し、なんとか回避運動を起こし目的の物を見つけ仲間に報告を開始する 憂「セラヴィーを、紬さんを見つけました」 憂「澪さん梓ちゃん!」 元気よく返事をしトップスピードでアリオスとドッキングしたガンアーチャーは紬の元へ向かう ケルディムは艦の防衛、ダブルオーライザーは遊撃へとミッション通りに行う ―――― 聡「ソレスタルビィィィィイング!」 キミ子「聡あんまり出すぎないでね!」 律「この声またあいつらか」 トレミーの弾幕に紛れ、他敵部隊共々聡とキミ子を近づけまいと狙い打つケルディム 聡はその無茶な特攻により、無謀と思われる攻撃をしていくが、律が他部隊を相手に しているのとキミ子のカバーによりなんとか損傷をふせげている 聡「姉ちゃんのかたきぃぃぃぃ!!!」 キミ子「聡!!」 だがキミ子のカバーむなしく銃撃戦により、出すぎた聡のアヘッドは ケルディムに近づく事なく足をもっていかれてしまう 聡「くっそこいつ!!」 キミ子「下がりなさい!」 律「大した腕もないくせに、無闇に前にでてくんじゃねーよ!アヘッド!」 聡「くっそ・・・くっそぉぉぉ!」 悔しそうな声が聞こえるとキミ子と聡は一時撤退をしていく 撤退していく中も律は他敵部隊の応戦へと忙しそうにビットで守り、ライフルを撃つ 律「こいつら!キリがない、シールドビットアサルトモードだ!」 ビットが合体し、右後方、左後方へと発射口がむき、背中あわせにケルディムは左前方、右前方 へと銃を向ける 律「お前らを倒さないと澪が死んじまうだろうがぁぁぁぁああーーッ!」 そのまま同時発射をしそれぞれの方向にいた敵4機を同時に撃墜したのだった --------------- ----------- ------- ダブルオーライザーの中をぐるぐると自分の視点がまわる 憂(やっぱり気のせいじゃない、お姉ちゃんが表に出てきてから体が別人のように動く・・・) 回転しながら右手と左手を別々に動かし、次々と敵機を撃墜していくダブルオーライザー 憂(お姉ちゃんの純粋種の力が私にも影響している?) 元々MSの操縦には卓越した技術を憂は持っていた それに純粋種の力が混じっているのだ 並大抵の敵なら圧倒されてしまうだろう 憂「もう一人の私に会えるまでは・・・しねない!」 鼓舞するとそのまま一気に襲い掛かる敵部隊を押し返していくのだった --------------- ----------- ------- 紬「あら、澪ちゃん、あなたが私の相手をしてくれるの?」 澪「むぎやめてくれ!なんでこんな事するんだ!」 セラヴィーは機体特性上火力は眼を見張るものがある それ故に動きが他の機体に比べて遅い、 それを利用し、銃を避けながらアリオスの機動力をいかして一気に懐に入り 豊富な武装を近くから破壊していく 澪「接近戦は苦手みたいだからな!」 紬「そうかしら?」 澪「むぎ!」 紬もただ黙ってやられているわけではない、武装がなくても己の拳がある、全身全霊を込め アリオスを殴打しようとする 澪「させるか!」 そうなる事は予想済み・・・拳を受け止め、負けじと逆にもう片方の拳で殴り返す 紬「それも!」 これも紬の頭には予想済み セラヴィーのもう一方の手でアリオスの拳を受け止める すると自然に力くらべと言わんばかりの押し合いになる形になる 澪「くっ」 紬「・・・」 澪紬「トランザム!」 両機が赤く染まり、ピクリともその状態から動かない しかし必死な澪の顔とは逆に紬の顔には余裕の色が見られた 紬「隠し腕って知ってるかしら?」 澪「なっ」 セラヴィーの肩と膝から隠し腕が発生し、そこから更にビームサーベルが獲物を 叩ききろうと、特有の色を咲かせる 紬「残念だったわね、澪ちゃん」 澪「・・・さすがキーボードは色んな音がでるな」 澪「ベースだけじゃそんな音だせないよ」」 紬「どういたしまして」 澪「・・・でもこっちにはギターもあるんだよ」 紬「え?」 澪「梓ぁぁぁぁぁああーーーーーーーーーーーッ!」 突然アリオスの背中から赤い武装が外れた いやよくみるとそれは戦闘機のような形をしている 紬は最初それをダブルオーライザーの様な戦闘能力の低いただの支援機だと思っていた ・・・それは間違いという事をこの後知る事になる 梓「澪先輩!」 梓の声が聞こえてきたと思うと、それはMSに変形 紬「梓ちゃん!?」 紬の隠し腕と武装をアンサンブルを奏でるように滑らかに破壊する 梓「ガンアーチャー、澪先輩のベースと私のギターはどんな音色にも負けません」 紬「そんな・・・」 成す術が無いというのはこういう事だろう トランザムも切れ、観念したような気持ちが思わず言霊へと変化する 紬「・・・」 ・・・ここでやられるわけにはいかない コンソールを操作するとセラヴィーから1つの小型飛行機が飛び出 戦場を脱兎の如く逃走を始める 澪「しまった!」 梓「逃がさない!」 とは言ってもただの小型脱出艇、この2機の機動力はかなりのものを誇る 機動力の差で、アッサリと追いつかれ、最後の紬の望みも断ち切られてしまうのだった 鉄の牢獄と化した小型脱出機の中からあの優しかった声が耳に届く 紬「私の負け・・・ね」 澪「むぎ、艦で・・・私達の古巣で詳しく聞かせてもらうぞ」 梓「むぎ先輩・・・」 梓「あっ!」 梓が何かに気づく それは若干、その起こった事柄に対して諦めにも似た声色が混じっていた 紬「あの機体は渡すわけにはいかないの、ごめんね」 澪は周辺を警戒する すると遥か彼方に主を失い戦場を後にするセラヴィーの姿があった 澪「オートパイロットか・・・」 辺りが静寂に包まれている、いつのまにか交戦が終了の一途を辿っていたようだ 澪「敵も撤退したみたいだな・・・」 梓「セラヴィーを失ったからでしょうか?」 澪「かな?」 安心感が出てきた頃に、ミッション終了の合図と優雅な誘いがあった さわ子「澪ちゃん梓ちゃんナイスよ!さぁティータイム始めましょうか!」 --------------- ----------- ------- ---プトレマイオス応接室--- 憂「すいません、遅くなりました」 憂が入室するとそこには唯以外のかつてのマイスターが揃う形になっている 正確には唯もいるのだが・・・ まだ心の中から姿を見せようとはしなかった 憂(私が入る前のCBはこんな感じだったのかな・・) 憂(・・・私もその場にいたかったな) 紬「みんな久しぶりね」 久しぶり・・・数年前の関係なら喜びそうなシチュエーション だが立場、想い等が複雑に絡み合い全員複雑な心境なのは否めない 律「こんな形で会いたくなかったけどな」 澪「むぎ・・・」 梓「むぎ先輩・・・」 突然、空気を弾き飛ばすような大きな声が部屋に響く 憂「つ、紬さん!!」 呼びかけられた主は、数秒呆けるが、笑顔を向け 数年前と変わらない暖かさを纏い応答する 紬「何かしら?」 聞きたい事は沢山だ 何から話そう まず始めに頭に浮かぶのは・・・ 憂「いつもお姉ちゃんにお菓子ありがとうございました!」 律紬梓さわ子「え?」 全員口を開けて憂を見ている この子は戦場に出ても、根本は変わらないままだ 紬がクスクスと笑うと、全員が何とも言えない感じで少し苦笑して見せた 紬「いいのよ、唯ちゃんにも伝えとくわね」 梓「伝えるって・・・」 この状況でどうしてそんな事が言えるんだろう? 紬「えへへ」 毛頭ここから逃がすつもり等断じてない、それに・・・この態度からして・・・ 梓「あっちの唯先輩は本当は憂ってネタがあがってるってもんです!」 悪びれない調子で屈託のない顔で驚く 紬「まぁ!ばれちゃったのね」 律「なんでそんな事したんだ?」 紬「面白そうだったからよ」ニコッ そうだ、こいつはこういうフシがあった、しっかりしてそうで イタズラ好きというかおてんばというか-- そこに鶴の一声が入る さわ子「あらあら、そろそろ本題に入ってもいいかしら?」 さっきまでとは違い全員の顔が険しい表情になった さわ子「そうね、まずむぎちゃんは最後の戦いで反応がロストしてから どうやって生き延びたのかしら?」 すんなり口を割らないかと思いきや意外にもぽつぽつと従順に質問に答えていく 紬「私はヴェーダから生まれた存在、体が消えてもデータはヴェーダ内に残ってるんですよ」 紬「体の復元には時間がかかりますけどね」 律「ヴェーダは何でもありだな・・・」 紬「気持ちわるいでしょ?人間じゃなくて」 この言葉に皆怒りを滲ませる、なんで怒る?当たり前じゃないか 梓「気持ちわるいわけないです!だってむぎ先輩はむぎ先輩だもん!」 律「ちょっと驚いたけど、私達仲間だっただろ?」 紬「・・・とりあえず喜んでおくわね」 この子達は・・・一言でいうと甘い、心が不安定なままだ、戦士には向いていない 敵を腹をくくって敵として完全に見れていない でも・・・だから昔の私はこの子達とずっといたんだなと思った さわ子「そう・・・次の質問にいくわね」 さわ子「むぎちゃんはどうして世界を滅ぼそうとしてるのかしら?」 紬「私はイノベイド、人と共に世界をつくっていく者」 紬「そんな中ヴェーダが世界を変革させるには純粋種、イノベイターを生み出す事が必要だと予測した」 紬「そして先の大戦で後に二人の純粋種が生まれた事をしったわ」 律「唯とあっちの憂ちゃんか」 ニコッと笑うと首を縦にふる 紬「全く正反対の世界のあり方を望む二人」 紬「世界を滅ぼそうとする憂ちゃんと、世界を分かり合おうとさせる唯ちゃん」 梓「太陽と月・・・」 紬「太陽と月?いいえ違うわ、二人とも人の為に平和を願っているんですもの」 梓「え?」 意味ありげに笑うと話を続ける 紬「私は迷っていた、どちらが正しいのか・・・」 紬「でも唯ちゃんは頭の中の憂ちゃんに繋ぎ止められ純粋種としての世界の変革の道を閉じ 前に進むのをやめてしまう」 憂「わ、わたしのせいで・・・」 紬「純粋種になりながらも、歩を辞めるのは、ナンセンスだわ」 紬「そもそもなぜそんな器が純粋種になれたのかしらね・・・」 紬は責めるように憂の胸の辺りを見つめている、その視線の先には唯を見ているように見えた 憂「お姉ちゃんは・・・!」 紬「?」 13
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がたがたがたっ、びしびしっ、がたがたがたっ 紬「これは、ちょっとどうなのかしら」 律「寝てる場合じゃないかもな。・・・澪、起きろ。おーい、澪」 ゆさゆさ 唯「あずにゃん、あずにゃん」 ゆさゆさ 梓「・・・おはようございます」 律「礼儀正しいな、おい」 澪「・・・ごめん。本当に寝ちゃってた」 律「いや、それは良いんだが。かなり風が強くなってきた。下手すると、これは・・・」 ガシャッ。バリッ、ガシャガシャッ。 澪「うわっ?」 律「やべ、本当に割れたっ」 梓「ギ、ギターが、飛んでっちゃいましたよっ」 唯「で、でも。こ、こにいたら危ないよね」 律「ああ。階段まで一旦出て、取りあえずはそこで待機するか」 紬「・・・澪ちゃんっ?」 律「ムギ、どうした?」 紬「澪ちゃんが、窓際にっ」 律「なにっ?・・・おい澪っ、戻れっ」 澪「駄目だっ。ギターが濡れるっ」 唯「澪ちゃんっ、危ないよっ。早く、戻って来てっ」 梓「澪先輩っ。ギターよりも、自分の事を心配して下さいっ」 澪「そんな事、出来る訳が・・・。それ程、濡れてないな」 梓「・・・先輩、ギターを投げて下さいっ」 澪「・・・落とせば壊れるぞっ」 梓「構いませんっ。先輩は、自分の事だけを考えて下さいっ」 澪「分かった・・・。えいっ」 唯「うわっと。・・・ムッタンキャッチッ」 澪「次、行くぞっ」 紬「ギー太も、キャッチッ」 梓「エリザベスもっ」 澪「後はドラムと……」 ガシャッ、バリバリッ、ガシャッ 澪「わっ?」 律「くっ、また割れたか。澪ーっ、早く戻ってこいっ」 澪「・・・律っ、ドラムは置いてくぞっ」 律「そんな事構うなっ。私はここにいるっ。だから、お前は戻ってこいっ」 澪「ああっ」 澪「くっ、風が強くて」 紬「澪ちゃん、急いでっ。また割れたら危ないわよっ」 澪「分かってる。分かってるけど、雨で前が」 ビューッ、ビュー、ビューッ 澪「うわっ」 律「ちっ」 ダダダッ 紬「りっちゃんっ?」 ガシャッ、ガシャッ、ガシャーッ 律「くっ」 澪「律っ」 律「構うなっ。走れっ」 澪「わ、分かったっ」 律「はぁ、はぁ、はぁ」 澪「わ、私をかばったから・・・」 律「気にすんな。ちょっと破片がかすめただけで・・・。くっ」 紬「りっちゃん、動かないで。・・・梓ちゃん、懐中電灯を」 梓「は、はい」 紬「膝の上が結構切れてるわね。それ程、深くはないみたいだけど」 澪「ごめん、ごめん。律」 律「だから、気にすんなって。それより、エリザベスが無事で良かったな」 澪「律・・・」 紬「何も無いけど、とにかく縛った方が良いわね」 澪「私のハンカチとリボンで」 律「おい、澪」 澪「律は黙ってろっ。・・・これでいいか、ムギ」 紬「多分、大丈夫だと思う。りっちゃん、きつくない?」 律「ああ、ありがとう。しかし、廊下に出てもあまり変わらないな」 紬「風のせいで、ドアが閉まらないのね」 澪「・・・生徒会室まで行こう。そうすれば消毒や包帯もあると思う」 律「でも私はちょっと・・・」 紬「大丈夫よ」 ひょいっ 律「おわっ」 律「おい、ムギ。大丈夫か?」 紬「全然平気よ♪ムギちゃんこそ、辛くない?」 律「いや。快適だけどさ」 紬「良かった♪」 澪「梓、懐中電灯を貸してくれ。私が前を歩く」 梓「は、はい」 律「大丈夫か?本当に真っ暗だぞ」 澪「そんな事言ってる場合じゃないだろ。梓、ムギと律の事見ててくれ」 梓「は、はい」 澪「階段濡れてるから、気を付けろ」 紬「了解」 梓「律先輩、痛くないですか」 律「だから少し切れただけだって」 梓「唯先輩も、大丈夫ですか」 唯「へ、平気だよ」 よろよろ 梓「ムッタンは自分で持ちますから。先輩は、ギー太とエリザベスをお願いします」 唯「ご、ごめん。本当、ムギちゃんはすごいねー」 紬「りっちゃんは軽いから♪」 律「照れるな、おい」 2F廊下 ざー、ざざー、ざー 梓「ここも、結構窓が割れてますね」 澪「ただ生徒会室へ行くには、ここを抜けるしかないんだよ。ムギ、大丈夫か」 紬「私は平気だけど、りっちゃんが」 律「今更濡れても気にしないさ」 澪「分かった。ムギ、悪いけど、出来るだけ急いでくれ」 紬「了解」 梓「ちょっと待って下さい」 たたたっ 澪「梓っ?」 紬「梓ちゃんっ」 梓「ムッタンで割れた所を押さえてますから、今の内に渡って下さい」 澪「悪い、梓・・・。ムギ」 紬「ええ。りっちゃん、行くわよ」 律「ああ。梓・・・、正直済まん」 梓「なんですか、それ」 くすっ 澪「どうにか渡れたか・・・。唯も早くっ」 唯「あ、うん。今行くよ。あずにゃんも早く、向こう側へ」 梓「唯先輩が渡ったら、すぐに行きます・・・。あれ?」 唯「あずにゃん、どうしたの?」 梓「いえ、その。あの。割れた窓を塞いでるギターが」 唯「うん」 梓「・・・ムッタンじゃなくて、ギー太でした」 唯「え?」 梓「ご、ごめんなさい。本当に、済みません。済みませんでしたっ」 唯「・・・あずにゃん」 梓「は、はい」 びくっ 唯「・・・ありがとう、あずにゃん♪」 きゅっ 梓「え」 唯「あずにゃんが窓を塞いでくれたから、ムギちゃんとりっちゃんは濡れずに渡れたんだよ」 梓「でも、ギー太が」 唯「大丈夫だよ。ギー太も、みんなを守れて嬉しいって言ってるしね」 梓「でも」 唯「ギー太がそう思ってるって事は、私もそう思ってるんだよ。あずにゃん、ありがとうって」 梓「・・・唯先輩っ」 きゅっ 唯「良かった、良かった」 きゅっ 2階・廊下 律「でもそれって、唯が間違えてギー太を渡したんじゃないのか?」 唯「・・・本当、風が強いねー。何も聞こえないよ」 律「この野郎。しかし生徒会室って、結構遠いな」 梓「暗いですし、ゆっくり進んでますからね」 紬「ごめんね、みんな。私がもっと早く歩ければ」 梓「そ、そんな事は全然。私こそ、勝手な事言って済みません」 律「正直済まん」 唯「りっちゃん、そればっかりだね」 梓「本当ですよ」 くすっ 紬「・・・」 2~1階・階段踊り場 澪「ちょっと休憩するか」 唯「そだね。雨も吹き込んでこないし、朝までここにいる?」 澪「唯達は濡れてるから、着替えるか体を乾かさないと」 梓「それに、律先輩の怪我もありますし」 律「私は全然平気だけどな。大体私よりも、ムギに聞かないと。・・・ムギ?」 紬「え?」 律「・・・ムギ。これって雨じゃなくて、汗だろ」 紬「私は、平気、だから」 にこ 律「そんな訳あるか。大体無理しすぎたんだよ。いくら何でも、ずっと私を背負って歩ける訳無いだろ」 紬「平気だって。りっちゃん、軽いから」 律「だからって、限度があるよ。・・・ここからは私も歩くから」 紬「りっちゃん。わがまま言わないで」 律「わがまま言ってるのはムギだろっ」 紬「りっちゃんっ」 梓「ふ、二人とも、落ち着いて下さい」 律「とにかく私は歩くからな。・・・っと」 よろっ 澪「律っ?」 唯「りっちゃん?」 律「は、はは。演技演技。ずっと背負われてたから、立ちくらみしただけだよ。全然平気だって。・・・くっ」 よろっ 紬「りっちゃん、背中に乗って」 律「平気だって言ってるだろ」 紬「りっちゃん」 律「だから平気だって・・・」 紬「りっちゃん、乗りなさいっ」 律「・・・正直、済まん」 ひょい 紬「りっちゃん、そればっかりね」 くす 律「たはは」 紬「うふふ♪」 梓「一時はどうなるかと思いましたが、本当に良かったです」 唯「私も変な汗かいちゃった」 澪「あと少しの辛抱だ。ムギ、律の事頼むぞ」 紬「任せて♪」 3
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梓(3曲目) 唯(永遠の女子高生、なんて言ったら痛々しいおばさんみたいかな?) 梓(唯先輩は今も女子高生みたいだ) 唯(でも歌ってる時は若返った気分になるんだよ!) 梓(構わないけどね。老けこむより若返る方がずっといい) 唯(またあずにゃんが素直じゃないオーラを出してるね。楽しんでるぅ?) 梓(唯先輩? 何ですかその顔) 唯(ん? 私の顔変かな?) 梓(表情がコロコロ変わりすぎです。元の顔が思い出せません) 唯(何がおかしいのあずにゃ~ん。ライブ、そんなに楽しいー?) 梓(唯先輩はライブで出せるものを全て出し切る人だ。今までの放課後を全部解き放ってるんだ。だから面白い) 唯(私も楽しいよ、あずにゃん) 梓(だから……やめられない。あの日の放課後を思い出させてくれるから) 唯(うん、特訓の成果出てるね!) 梓(あの日の唯先輩は珍しくが練習熱心でしたね) 唯(放課後っていいね) 梓(何千時間過ごしたかわからない放課後が今このステージで再生されてるみたい。こんな風に考えてるのは私だけかもしれないけど) 唯(忘れたくても忘れられないもん。あの日もあの日も) 梓(いや……きっと先輩達だって私と同じ気持ちだ。そう信じたい) 唯(大好きだったから) 梓(ふふ。私も大好きだったんだなぁ、放課後が) 唯(今日のあずにゃんはよく笑うね) 梓(単なるノスルタルジーではない。だって放課後は永遠なんだから) 唯(あずにゃんがドヤ顔に) 梓(こんなこと恥ずかしくて口にできないけどね。でも、唯先輩の歌が呼び起こす放課後は、幻想なんかじゃなくて確かな現実だ。確かに私達が積み上げてきたもの) 唯(あずにゃん?) 梓(すみません。ちょっと浸ってしまいました) 唯(あずにゃんでもライブ中気が抜けちゃうこともあるんだ) 梓(奇跡みたいなものだったんだよ。あの時間は) 唯(元気出してよあずにゃん) 梓(だからちょっぴり不安になる。どうすればいいのかなって) 唯(テンション上げようよ) 梓(どうすればいつまでも……) 唯(あずにゃん) 梓(唯先輩?) 唯(……うたおうよ) 梓(唯先輩……) 唯(私達は放課後ティータイムだよ) 梓(そうだ。まだまだ終わってないんだ) 唯(今は楽しも! あずにゃん) 梓(そうだ。楽しむんだ、私) 唯(ふぃー。じゃ、澪ちゃん頼むね) 梓(4曲目。この曲を始めて聞いたのは一年前の学祭) 唯(そういえば去年……) 梓(受験が近かったし心配かけたくなかったから、先輩達には言わずこっそり見に行ったんだけど……) 唯(あずにゃんが見に来てた、ってりっちゃんが言ってたなぁ) 梓(律先輩と目が合ってしまった) 唯(あずにゃん、来るって言ってなかったのに) 梓(あの時の律先輩の目は、私が今まで見たことのない目だった) 唯(りっちゃんもあまりあの日のこと話したがらないし) 梓(仲間外れしてごめんな、そう言っているように見えた) 唯(きっと何か理由があるんだと思う。りっちゃんもあれで結構考えてるから) 梓(律先輩は強引な人だ。きび団子を持ってない桃太郎みたいなものだ) 唯(あずにゃん、りっちゃんに見つめられてるよ) 梓(一方で責任感が強い人だ。一度仲間になったら簡単には離してくれない) 唯(あ、りっちゃん、恥ずかしそうに目を伏せた) 梓(律先輩、リズムが乱れてます。怠けないでください) 唯(あずにゃんが厳しい視線をりっちゃんに) 梓(しかし、今となっては、律先輩みたいな人が部長でよかったと思える。本能任せなこの人でよかったと) 唯(りっちゃんが渋い表情に) 梓(決してうまく部を仕切っていたわけじゃない。やりたいことをやっていただけ、のように見えた) 唯(りっちゃん、がっくし) 梓(でも、それがいい結果につながっていたんですよ、律先輩。おかけで私達はのびのびと過ごすことができました) 唯(りっちゃん、復活) 梓(今まで意識することはありませんでした。でも、律先輩が私達に見えないところで盛んに動いていたことを、最近になってようやく理解しました) 唯(りっちゃんは、私と一番ウマが合う相手と言っていいかな) 梓(律先輩は人の見えない部分を引き出すのが得意だ) 唯(だってりっちゃん見てると楽しくなって来るもん) 梓(逆に律先輩の内面はまだわからない部分が多い) 唯(話してて飽きないし) 梓(律先輩自身、見せたくない感情が多いのかもしれない) 唯(演奏してると楽しいし) 梓(でも、律先輩) 唯(あずにゃん?) 梓(私は敢えて律先輩の中身を見ようとは思いません) 唯(りっちゃん、キョトン) 梓(きっと律先輩は見られるのを嫌がるでしょうから。だから私はずっと生意気な後輩でいるつもりです) 唯(あずにゃん、ニヤリ) 梓(だから、練習サボって怠けてたら遠慮なく注意しますよ、今まで通り。それが私達の立ち位置だと思いますから) 唯(あずにゃん、嬉しそう) 梓(私達は変わりませんよね、部長) 唯(りっちゃん、コクリ) 梓(あと2曲か) 唯(雨、止んだね) 梓(この曲は曇り空が似合う曲だ) 唯(この曲、最近作ったばかりだから練習不足なんだよね。だから集中しなくちゃ) 梓(唯先輩が気を引き締めている) 唯(フンス) 梓(……時々現れる大人の顔。普段子供っぽいだけにいきなり大人の顔を見せられたら身構えてしまう) 唯(さ、あずにゃんも) 梓(! ヘアピンがないと余計に) 唯(いくよー) 梓(ダメダメ。集中しなきゃ) 唯(やっぱり今が一番だね) 梓(子供と大人の境界線。唯先輩を見てるとそんなものを意識してしまう) 唯(だって今のみんなが愛おしいから) 梓(過去と未来に押しつぶされそうになる時がある) 唯(今を愛さないと何も愛せないよ) 梓(先輩達が高校を卒業する、というだけで私は壊れてしまったんだから) 唯(どうしたの、あずにゃん。澪ちゃんの歌声に心臓揺さぶられちゃった?) 梓(唯先輩。私ムカついてます) 唯(ん?) 梓(私がどんなに悩んだって) 唯(怒ってるような、笑ってるような、泣いてるような、よくわからない顔) 梓(唯先輩は自分のペースを崩しませんから) 唯(私に何か言いたいことがあるの? あずにゃん) 梓(何も言いたいことなんてありません。ただ……ただいつか見捨てられるんじゃないかとおびえているんです) 唯(あずにゃん……残念だけど今は抱き締められないよ) 梓(唯先輩?) 唯(あずにゃん、私達いつの間にか大学生になっちゃったね) 梓(卒業……か) 唯(でもね、何度卒業したって私達はやり直せるでしょ。だって……) 梓(うん、決めたもんね。今を楽しむって) 唯(放課後はいつまでも終わらないんだから) 梓(思い出も未来予想も今はいらない) 唯(ステージ上のミュージシャンのやることは一つ!) 梓(ギターを弾こう) 唯(私達は一つ!) 梓(今が私の一番なんだから) 唯(これで最後) 梓(もっと演奏したい) 唯(あずにゃん、デパートのおもちゃ売り場でダダこねてる子供みたいだよ) 梓(何ですか唯先輩。しょうがないじゃないですか。好きなものは好きなんです) 唯(大丈夫だよ。これからもライブはできるよ。何度だって) 梓(明日からしばらくはティータイム漬けかも) 唯(今夜の打ち上げ楽しみだなぁ) 梓(あぁその前に今夜はきっと……) 唯(ま、これ含めて放課後ティータイムなんだからあずにゃんも許してくれるよね) 梓(でも練習もしますよ! もっと真面目に!) 唯(あずにゃんの目……あれは「練習!」の目だ) 梓(私達のためなんですよ) 唯(わかってるよ。練習練習言わないあずにゃんはあずにゃんじゃないもん) 梓(澪先輩もそうですよね。練習が大事ですよね) 唯(でもちょっと休みたいよね、りっちゃん) 梓(ムギ先輩もニコニコしてないで何か言ってください) 唯(ムギちゃんは私達の味方だよね) 梓(はぁ。結局私達はいつまでも女子高生だなぁ) 唯(嬉しそうだね、あずにゃん) 梓(でもこれこそ私が望んだものなのかもしれない) 唯(晴れてきたね) 梓(日差しが……眩しい) 唯「ラスト! “Cagayake! GIRLS”」 梓(できるならば……ずっと、女子高生のままでいたい) ――――― 梓「2013年が始まる。 学祭が終わり、しばらく真面目に練習することはないだろうという私の懸念は当たらなかった。 学祭の二日後には、示し合わせたわけでもないのに5人集まって演奏した。 ゆるい雰囲気は相変わらずなのだが、音楽に対する熱は気温に反比例して上昇していった。 毎日音合わせに夢中だった。あの学祭ライブの感覚を忘れることないよう、全身に焼きつけるかのようにただひたすら。 大晦日だった昨日も、朝からライブイベントに参加した。そしてさっきまで唯先輩の部屋で打ち上げ兼忘年会。 新年を迎える前に眠りに就いた律先輩と純とさわ子先生は唯先輩の部屋で寝かせて、澪先輩とムギ先輩と和先輩には私の部屋に泊まってもらうことにした。 メールだ。さきほど新年のあいさつをしたばかりの隣人から。ベランダに出て?」 梓「唯先輩」 唯「あずにゃん」 梓「寒いですね」 唯「うん」 梓「電話じゃ駄目なんですか」 唯「星空眺めながら話そうよ」 梓「風邪引きますよ。明日帰省するのに」 唯「10分だけでいいからぁ」 梓「はぁ、わかりましたよ」 唯「ありがとー」 梓「憂はもう寝たんですか?」 唯「洗い物とおせちの準備をしてるよ」 梓「手伝ったらどうですか」 唯「邪魔になるだけだから……」 梓「確かに」 唯「ちょっとはフォローしてよ……」 梓「憂は自分の料理を唯先輩がおいしく食べてくれるだけで嬉しいんです。それ以上は望んでません」 唯「でもさ~、たまには台所に姉妹並んで料理とかさ~」 梓「じゃあしてきたらどうですか」 唯「来年はそういう事やりたいかなーって」 梓「もう2014年の目標を立てたんですか」 唯「揚げ足取らないでよー。今年ね、今年。今年の目標」 梓「今年の目標ですか」 唯「あずにゃんの今年の目標は?」 梓「決めてません。まだ去年の総括も終わってませんから」 唯「忙しかったもんね」 梓「あっという間でした。振り返る暇がないほどまっすぐ駆け抜けてきた感じです」 唯「誰も身体壊さなくてよかったよ」 梓「こんな時間に夜風に吹かれてたら簡単に風邪引きそうですけどね」 唯「だぁいじょうぶだよー。憂の料理とおみかんさまがついてるからねー」 梓「憂の苦労を台無しにするようなことだけはしないでくださいね」 唯「わかってるよー。ちゃんと着こんでるから大丈夫……ういっくしっ!!」 梓「……もう寝ますか」 唯「……もうちょっとだけ話そうよー」 梓「この一年、色々なことがありましたね」 唯「そだねー。その度に助けてくれる人がいたね」 梓「1月、2月は入試で」 唯「あずにゃん。受験の日、結局私の部屋に泊まってくれなかったね」 梓「泊まったら落ちてましたよ、きっと」 唯「ぶー」 梓「憂がいてくれてよかったです。教えるの上手だし」 唯「おいしいお茶を出してくれるし?」 梓「……まぁ否定はしません。憂の入れてくれるお茶やコーヒーはおいしいです」 唯「受験のノウハウを姉から引き継いでいたし?」 梓「それはないです」 唯「即答!?」 梓「後輩達も快く部室を使わせてくれました」 唯「あずにゃん達も私達と同じだったんだー」 梓「私達は唯先輩や律先輩みたいにサボってません。……まぁたまに」 唯「んー?」 梓「なんでもないです。何はともあれ合格できて3月には……」 唯「あれ?」 梓「どうかしましたか」 唯「純ちゃんの活躍は?」 梓「純は……私達のペースメーカーでした。純が眠りに就くのが休憩の合図でした。おかげで無理なくやれました」 唯「気が利く子なんだね~、純ちゃん」 梓「そうでしょうか」 唯「3月は卒業旅行に行ったね~。と言っても私達も一緒だったけど」 梓「先輩達の旅行にも連れて行ってもらったんですから当然です」 唯「ありがとー」 梓「私達の行きたい所に行って先輩達が満足できたのか不安でしたけど」 唯「私達の旅行はレジャーがメインであずにゃん達の旅行は観光がメインだったからねー」 梓「退屈じゃありませんでしたか?」 唯「もちろんそんなことないよ! 私達に楽しめないものはないよ」 梓「ああ、確かに振り返ってみると唯先輩と律先輩は走り回って澪先輩とムギ先輩は二人を必死に追いかけてましたね」 唯「うぅ、ごめん。旅行になるとテンションが上がっちゃうんだよ」 梓「しょうがないです」 唯「逆にあずにゃん達が楽しめてたのかどうか心配になってきた」 梓「楽しめましたよ。私達の方は、盛り上げてくれた先輩達に感謝してますから」 唯「それはよかった」 梓「旅行から帰ったら息つく間もなく大学生になって」 唯「あずにゃんのスーツ姿、かわいかったよ~」 梓「可愛いと言われて喜んでいいのかわかりません」 唯「きっと就活でも高得点だよ~」 梓「どういう採用基準ですか」 唯「私が面接官だったらあずにゃんを雇うよ」 梓「私は唯先輩の部下にはなりたくないです」 唯「しょぼん」 梓「5月の連休は……あぁ。初めて唯先輩の運転を……」 唯「私の運転に酔ってたねあずにゃん」 梓「確かに酔いました」 唯「ごめん。でもあれは他人の車だったし、不慣れだったというか、何というか」 梓「律先輩が、私の車が唯に壊されないか冷や冷やしてたって言ってましたよ」 唯「これでも傷一つつけたことないよ!」 梓「唯先輩の運転する車にはあれ以来乗ってませんけど、これからも乗りたいとは思いませんね」 唯「じゃあ二人でドライブに行きたい時はどうすればいいの」 梓「私が運転します」 唯「え~、あずにゃんの運転、遅くてたいくつ~」 梓「安全運転です」 唯「私だって」 梓「こういう話は私達のどっちかが車買ってからにしましょうよ」 唯「お金貯めなきゃね~」 梓「そうです。6月なんてピンチでしたからね」 唯「しょうがないじゃん。服も買わなきゃギターメンテしなきゃ食料買わなきゃだったんだから」 梓「雨のせいで気軽に買い物行けないからって、一度のお出かけで何時間もお店に居座って高い買い物してましたもんね。そのせいで憂が働きに出る羽目に……」 唯「人聞きの悪いこと言わないで! 元々この時期からバイト始めようって言ってたよ!」 梓「本当ですか」 唯「そう言うあずにゃんだって6月からバイト始めたよね」 梓「私も予定通りです」 唯「ほんとに~?」 梓「本当です」 14
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梓「それじゃあ、家に入ってみますか」 ガチャ 律「暗なー、カーテン締め切っちゃってるからか?」 梓「でも、全く見えないって訳でも無いですね」 律「とにかく電気つけてみるか」カチッ 律「あれ?点かないぞ」 梓「えー、どうしよう」 1ブレーカーを探す 2懐中電灯を探す 3そんな場合じゃない、このまま進む 4律先輩っ、おでこ光らせて下さいよっ!!!!! ※3 梓「まあ、何も見えない訳でもないし」 梓「このまま行っちゃいましょう!」 律「そうだなっ、唯の部屋は三階の突き当たりだったはずだ」 律「とにかく行ってみるかっ」 ギシギシ 二人は階段を上り、二階へ上がった しかし二階には用がない そのまま三階へと進むのであった 律「たしかココだったな」 梓「じゃあ、入りますね」 カチャカチャ 梓「あれ?鍵が掛かってますね」 律「えっ、ココまで来て引き返したくないぞ」 律「緊急だし、蹴り破っちゃおうか?」 梓「えーっ!緊急だなんて思ってなでしょー」 1スペアキーを探しに二階リビングへ行く 2律先輩の言うとおり、ぶち破っちゃおう! ※2 梓「蹴り…破っちゃいます?」 律「へっ?本気か!?」 梓「本気ですっ!唯先輩が危ないんですっ!やってやるですっ!!!」 律「まあ、女の力でも、二人ならやれるかもな」 律「いくぞーっ!」 梓「はいっ!」 梓律「せーのっ!」 ドーンっ!!!!!!!!! 梓律「!!!?」 律「空いてないし…」 梓「足痛いです」 律「どうする?まだやってみるか?」 1やってやるです 2リビングに行きましょうか… 3あるぇーっ?私足挫いちゃったかもぉー、憂の部屋で、足見てくださいっ」 ※3 律「ホンとかっ?見せてみろよ?」 梓「どうせなら、憂の部屋で、ベッドの上でっ?」 律「はぁ?何でだよ?」 梓「さあ、行きましょ先輩っ」 律「???」 律「まあ、憂ちゃんの部屋は隣だし、マイナスドライバーとかあったら」 律「鍵をこじ開けられるかも知れないしなっ」 ガチャ 梓「やったっ、憂の部屋は普通に空いてるっ!」 律「さっ、足見せてみろっ」 梓「はぁい」 律「どこが痛むんだ?ココか?」 梓「もっと上です」 律「はぁ?挫くって、普通足首だろ?」 梓「私のこの辺り、触って診て下さい…///」 梓「この辺り、なんだか疼いちゃってぇ」 律「ばっ、バカッそこって…お前っ」 梓「律先輩っ」ダキッ 梓「良いじゃないですか、澪先輩には内緒にしますから、ね?」チュッ 律「!!!?」 律「おいっ、ちょっとっ!」 梓「ダメですっ、逃がしませんっ」ヒシッ 律「そうじゃないっ!気付かないかっ!?」バッ 梓「へっ!?」 律「おいおい、こりゃヤバイかもだ…」 梓「何なんですっ!?」 律「いいか?二つある、緊急だ一度しか言わないぞ」 梓「何なんですっ?」 律「一つは、足音を立てないように、ゆっくりとだが 律「誰かが階段を上って来ているっ」 梓「!?」 律「よく耳をすませてみろっ!確実に上って来ている」 律「そしてもう一つ」 梓「うっ、私も気付いちゃいましたっ」ブルブル 律「ああ、そのクローゼットの中、誰かいるぞっ」 梓「ひぃっ!」 律「というより、閉じ込められたのか?それとも隠れているのか?」 律「どちらか一方は唯かもしれないし、どうする?」 1部屋の鍵を閉めて立てこもり、クローゼットを開ける 2クローゼットを開けてからこの部屋から、逃げる 3クローゼットの人物を守るため、自分達が逃げて囮になる ※1 梓「立てこもりましょうっ!」 梓「クローゼットの中の人はきっと唯先輩ですっ!」 梓「閉じ込められてるか、隠れてるんですよっ!」 律「くそっ『助けて』ってのはマジだったのかよ…っ!!!」 カチャ 梓「鍵は閉めましたっ!!!」 律「それだけじゃダメだっ!」 律「この机をドアの所へっ!」 律「蹴り空けようとされた時に、時間稼ぎになるはずだっ!!!」 梓「はいっ!」 ズリッ、ズリッ 梓「ふうっ」アセアセ 律「ヤバイな、そろそろ来る」 律「私は何か武器になる物を探すっ、お前はクローゼットの中の唯を頼むっ」 梓「はいっ!」 梓「唯先輩っ!今助けますねっ!!!」 バッ!!!! 梓「きゃぁぁあああああ!!!!!!」 中にいたのは唯では無かった 緑色をした肌、鳥のような頭の怪物 梓「きゃあああぁぁああ!!!あああぁああああああああ!!!!」 ?「ぐがぁっ、ぐうぅ…」 律「落ち着け梓っ!!!」 律「そいつは縛られているっ!」 梓「はあ、はあっ」ブルブル 律「どうなってるんだっ!こんな怪物がっ、しかも誰かが捕獲したのか?」 律「もう訳わかんねえよっ!」 ガチャ その時ドアの外で誰かがドアノブを回した 梓「!!!?」 ドンドンっ!!! 梓「ひっ!」ビクビク 律「くそっ!!!」 律「ココは三階だよな?だが窓がある」 律「なにかロープの様なものは無いか探すんだっ」 梓「はいっ!」 律「流石にこれはヤバイっ、私は警察に電話するっ」 ?「あずにゃん?いるよね?」 梓「えっ?唯先輩っ!!!」 律「おいっ、そこにいるのは唯なのかっ?」 ?「そうだよっ、私だよっ!ここを空けてよっ」 律「おまえっ、無事なのか!?この怪物は?」 ?「私と憂で捕まえたんだよっ! ?「さあっ、そんな怖いところにいないで、出ておいでよっ」 律「そうかっ、よしっ、梓、机を動かすぞっ!」 律「さあっ、梓っ!」 梓「本当に…唯先輩ですか?」 律「何言ってるんだ?これは唯の声だろっ?」 梓「でも…なんか、嫌な予感が…」 鳥男「ぐあっ、ぐあっ!」 律「おいっ、縄が解けはじめてるんじゃ無いかっ!?」 ?「あずにゃん!りっちゃん!早くっ」 律「さあっ、梓っ!!!」 梓「……」 1わかりましたっ、手をかします 2嫌ですっ、その唯先輩は偽者ですっ! 3鳥男が動けないうちに、先に止めを刺しましょう! 4律先輩覚醒 自動選択4 律「やれやれ、今回もとんだ茶番だぜ」 梓「えっ?律先輩?」 律「そろそろ『気』も練れて来た所だ」 律「一気に終わらしてやるぜっ!!!」 律「いっけーっ!!!破ぁーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」 ドッカーン 大気が揺れ、地が鳴り響き、平沢家に円柱状の光の柱が立ったっ!!!! 梓「これ…は?」 律「この家は悪霊に取り付かれていたんだ」 律「だがもう安心だっ、これで全て元通りっ、さあっ、『本当の』唯が待ってるぞ」 梓「律先輩っ!!!あなたは、もしやっ!?」 律「寺生まれのTこと、田井中律とは俺のことだぁっ!!!」シャキーン グッドエンド108 地獄寺生まれ田井中律 第五話 安価スレでも寺生まれ律ちゃん登場 完 戻る
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唯「ぜったいおんかん?」 あずにゃんが何気なく言い放ったその言葉に疑問符を浮かべる。 律「あれだ。眼が紅くなると全ての系統の能力が100%引き出せる……」 澪「そりゃ絶対時間。HUNTER×HUNTERの読みすぎだ」 梓「簡単に言えば、全ての音の音階を一発で言い当てる能力ですね」 唯「……どゆこと?」 澪「例えば、だ」 みおちゃんがあずにゃんの言葉の後を継ぎながら、ベースを爪弾いた。 澪「唯、今の音は何だ?」 唯「? レでしょ?」 紬「じゃあ唯ちゃん、これは?」 ムギちゃんが軽やかに白鍵をはじく。 唯「ソだよ」 律「んじゃあ、こいつはどうだ」 りっちゃんがクラッシュを高らかに打ち鳴らす。 唯「んっと……シ、かなぁ」 律「へぇ~、今のシだったんだ」 澪「分からずに試したのかよ!」 梓「と、まあこのようにあらゆる音を瞬時に聞き分けて、言い当てる能力のことを絶対音感っていうんですよ」 唯「え? でもそれって普通でしょ?」 なぜか皆が揃ってずっこける。 澪「おいおい、唯……」 律「そんなトンデモ能力、みんながみんな、持ってるわけねーだろ」 紬「少なくとも私達にはありませんし」 梓「みんなが持ってたら世の中、チューナー要らずですよ」 唯「へぇ~、そうだったんだぁ」 自分にそんな特別な能力があるなんて意識したこともなかった。誰かに自慢出来るようなものがない私にとって、それはちょっと嬉しいことだった。我知らず笑みが零れる。 唯「えへへ~」 梓「まあ絶対音感があっても練習しなくちゃギターは上手くなりませんけどね」 唯「あぅ……ですよね~」 あずにゃんの手厳しい指摘に肩を落とす。が、それも一瞬のことで次の瞬間にはいつもの笑顔に戻る。 下校時間を知らせるチャイムが校舎に鳴り響いた。意識を研ぎ澄ませ、全身の感覚を耳に集中させる。 唯「ド~ミ~レ~ソ~」 ドレミを口ずさみながらギー太を鳴らす。普段は何気なく聞いていた音が途端に表情を変えたように思えた。 机の上に置いてあったフォークを手に取り、ティーカップを軽く小突く。 唯「これは……ラ!」 澪律紬梓「おぉ~」 唯「あははは、おもしろ~い」 聴き方を変えただけで世界の全てが一変したようだった。世界に満ちる音がこんなにも彩りに溢れたものだったなんて。 梓「え、じゃあ家でもあんな調子なの?」 憂「うん、お姉ちゃんってば、家中の物を叩いたり、テレビから流れる音を言い当てたり、ずっとはしゃぎっ放しだったよ~」 梓「子供っぽいというか……まあ唯先輩らしいと言えば、らしいか」 憂「でもそんな子供っぽいお姉ちゃんも可愛いよ?」 梓「その感覚は分からない……」 惚気にしか聞こえない憂の言葉をスルーして、お弁当箱の中の玉子焼きを箸で突付く。 梓「でもまあこれで納得したわ」 憂「何が?」 梓「唯先輩の演奏力の高さよ」 憂「どういうこと?」 梓「あの一つのことをやりだしたら、脇目も振らずに最後までやり抜く集中力に絶対音感が加われば、そりゃ上達も早いわけよねぇ」 澪先輩達から聞いた話によると初めて三ヶ月も経たないうちに、結構な腕前にまで上達していたそうだし。 梓「絶対音感を意識した唯先輩なら、今まで以上のスピードで上達するかもね」 憂「さすがお姉ちゃん!」 梓「はいはいごちそうさま」 実際、その考えは間違ってはいなかった。この後、以前よりも音楽にのめり込んだ唯先輩の演奏技術の向上は目を瞠るものがあった。 だけどそれは──── 唯「あぅ、また音がずれたぁ~」 ペグを微調整し、調弦する。 律「おいおい、またか~」 澪「あんまり気にしすぎるのもどうかと思うぞ、唯」 唯「ん~、分かってるんだけどね……。どうも音がずれていると、こう、背中がぞわぞわ~ってするんだよぅ」 律「今までギターの手入れとかサボってた奴の言葉とは思えんな」 梓「唯先輩、ちゃんとギターの手入れしてますか? 手入れを怠ると弦が緩みやすくて、すぐ音がずれてしまいますよ」 唯「それは大丈夫だよ~。定期的に弦も張り替えてるしね。そのおかげでお小遣いが大変なことになってるけど……」 苦笑しながらチューニングを続ける唯ちゃん。その横顔には何の翳りもない。 紬「………………」 律「ムギ~、どうした? ぼ~っとして」 紬「あ、いえ、なんでもないわ」 いつもと同じ柔らかな笑顔で応える。 紬(そうよね。杞憂、よね。唯ちゃんに限ってそんな……) 頭の片隅に居座る小さな不安を追い出すように、首を振る。 唯「あ、そういえばみおちゃんのベースも音が少しずれてるよ~。一弦のソの音が」 澪「え、本当か?」 シールドをチューナーに繋いで調弦する澪ちゃん。 澪「ほんとだ。ほんのちょっとだけど確かにずれてる」 律「なんかますます磨きが掛かってきたなぁ、唯の絶対音感」 梓「一流の音楽家にもなると、湿気の影響で歪んだ楽器の僅かな音の違いも許せないらしいですしね。唯先輩が音のずれを気持ち悪いと感じるのも、その類なんでしょう」 唯「一流の音楽家……えっへん!」 律「あっはは、唯がそんな繊細なわけないだろー」 唯「あ、ひどいよ、りっちゃん~」 ほっぺたを膨らませてむくれる唯ちゃん。いつもと同じ、他愛のない会話。変わらない日常。そのはずなのに胸に巣食った一抹の不安は消えてくれない。 紬(思い過ごしならいいのだけれど……) 澪「おはよう、唯」 唯「………………」 澪「唯? おはよう」 唯「………………」 返事がない。ただのしかばねのようだ……ってそんなわけがない。こちらを無視してすたすたと前を歩く唯に追いつき、肩をぽんと叩く。 澪「唯ってば」 唯「ひゃッ!? あ、な~んだ、みおちゃんかぁ。びっくりしたぁ」 耳にはまったイヤフォンを取りながら、唯が振り向く。なるほど、だから返事がなかったのか。髪に隠れて後ろからでは分からなかった。 澪「おはよう、唯。にしても珍しいな。唯が音楽を聴きながら登校だなんて」 iPodを操作しながら歩く唯に話しかける。 唯「あ~、うん。なんか最近、疲れちゃってね~」 澪「疲れた? なんか運動でも始めたのか? それともバイトとか?」 疲れたことがどうして音楽を聴くことに繋がるのだろう? ヒーリングミュージックでも聴いているのだろうか。 唯「うん、最近ね、意識とかしていなくても雑踏の音とかが全部、頭の中でドレミに変わっちゃって。ず~っと聞いてると頭の中がドレミでいっぱいになっちゃってねー。だったらまだ音楽を聴いてた方がましかなぁって」 そう言いながら苦笑する唯の顔には、少しだけ疲れの色が滲んでいた。 澪「大変だな、絶対音感というのも」 唯「ん~、でも便利だし、面白いこともあるしねぇ」 こちらに心配を掛けさせまいと思ったのか、それとも素でそう言っているのか。唯は疲れの色を顔から消して、いつもの笑顔で答える。 澪「なあ、唯……」 律「おっはよー、二人とも。澪ぉ~、ひどいぜ、おいていくなんて~」 澪「律がいつまでもうだうだと朝食を食べてるからだろ。もっと早起きしたらどうだ?」 律「そいつぁ、無理な相談だ!」 澪「胸を張って言うことか!」 かんらかんらと笑う律にツッコミを入れる。律の突然の乱入のせいで、唯に声を掛けるタイミングを逸してしまった。 澪(大丈夫かな、唯……) 唯「あ……またずれた……」 ぼそりと呟き、演奏を勝手に止める唯。 律「おい、唯~。何度目だよ。音が外れる度に演奏、中断してたんじゃ、練習になんないぜ」 それに合わせてこちらもスティックを振るう腕を止める。 澪「少しぐらいずれても、一度通しでやらないと全体の流れが掴めないぞ?」 ギターの音や歌声の音程が外れる毎に演奏を止めては、個人練習に入る唯。始めはそれだけだったのだが───。 唯「うん、ごめん。じゃあもう一回、最初からいってみよ」 律「……オッケー。1・2・3・4・1・2!」 スティックでカウントを刻み、軽快なポップロックが鳴り響く。 律(なんつー顔で弾いてんだよ……) 滑り出しは順調なのだが、Bメロに入るか入らないかというところで、唯の顔が少しずつ歪んでいくのが分かる。また微妙な音程のずれを感じ取っているのだろう。やがてそれに耐えかねたのか、声を荒げながら、ストロークする腕を止めた。 唯「……ムギちゃん! 今のところ、さっきもずれてたよ!」 紬「あ……ごめんなさい、唯ちゃん」 律「………! いい加減にしろよ、唯!」 澪「律!?」 梓「律先輩!?」 律「そんな粗探しするように演奏してても、しょーがねえだろ! 曲の完成度を高めるためにストイックになるのもいいけどな、それを何度も押し付けられるこっちの身にもなってみろよ!」 紬「りっちゃん、喧嘩は……」 そのための練習だというのも分かっている。だけどミスする度に責められるような口調で指摘されれば、苛立って当然だ。ここまでいくとストイックというレベルを通り越して、ただの神経質だ。だけどそれ以上に許せないのは───。 律「あーもう止め止め! そんな無理してやってますー、みたいな顔してやられたんじゃ、こっちも楽しんでやれねーよ!」 いつも楽しそうに演奏している唯の顔から笑顔が消えてしまったことだ。 唯「……しくないんだもん……」 紬「……唯ちゃん?」 唯「だって!」 「楽しくないんだもん!」 音楽室の時が止まる。唯の言葉に誰もが凍り付いて身動ぎ一つ出来なかった。私以外は。 律「……あーそう! じゃあもうやらなきゃいいだろ!」 唯「………………!!」 唯は何も言わずにギターをソフトケースに仕舞い、足早に音楽室から去っていった。その瞳に涙を浮かべながら。 律「……ちくしょー……」 売り言葉に買い言葉。黒板に額を打ちつけ、ついさっき吐いた自分の言葉に後悔する。 律(あんなこと、言いたかったんじゃないのに……) 紬「りっちゃん」 律「……なに」 紬「おでこ、汚れちゃうわよ」 そう言うとムギは私を振り向かせて、差し出したハンカチでおでこを拭ってくれた。 紬「……りっちゃんの悪いところは言葉がちょっと足りないところ。あれじゃあ、本当の気持ちは伝わらないわ」 律「……なんだよ、ほんとの気持ちって」 澪「心配なんだろ、唯のことが」 律「なっ、そんなんじゃねーよ! ただ私は唯のやつが───」 梓「律先輩が一番、唯先輩のことを見てましたからね。バンドを支えるリズム隊として。軽音部の部長として。……親友として」 律「んな……ッ!」 図星を衝かれ、ぱくぱくと開いた口が塞がらない。 紬「みんな、同じ気持ちよ。だから今日のことは謝って、ちゃんと伝えなきゃね、本当の気持ち」 律「……しゃーねーなぁ。じゃあ唯が明日、ちゃんと練習に来たら……あ、謝ってやるよ」 照れくささのあまり、顔を背けながらぶっきらぼうに言葉を放つ。素直になれない私にみんなが微笑ましい笑みを零した。 だけどその願いは。 叶うことはなかった。 梓「唯先輩が部活に顔を出さなくなってから、もう一週間、かぁ……」 梓ちゃんが溜め息を吐きながら、独り言のように言葉を漏らす。 憂「家でもギターに触ってないみたいだし……。大丈夫かな、お姉ちゃん……」 梓「家でも弾いてないんだ……。このまま音楽、やめちゃうのかな、唯先輩……」 暗く沈んだ顔で肩を落とす梓ちゃん。 憂「大丈夫だよ。お姉ちゃんだもん。きっとすぐ立ち直って、またあの笑顔を見せてくれるよ」 何でもないことのように、努めて明るい口調で梓ちゃんを励ます。そう自分に言い聞かせるように。 梓「そう……そうだよね。またすぐにいつもの笑顔に戻ってくれるよね」 憂「うん。お姉ちゃんはどんな時でも、いつも笑顔だったんだから。みんながこんなに心配してるって分かれば、嬉しくてすぐ笑顔になるに決まってるよ~」 きっとそうだ。そうに違いない。あのお姉ちゃんがこんなにも長く塞ぎ込んでいるのは初めて見るけど、またいつもの調子で立ち直ってくれるに違いない。 梓「あ、じゃあ私、こっちだから……。唯先輩によろしくね、憂」 憂「うん、また明日ね、梓ちゃん」 手を振りながら梓ちゃんと別れて、一人、家路へと着く。 憂(大丈夫だよね、お姉ちゃん……) 言い知れぬ不安が胸を埋め尽くす。ここ最近の姉の様子を思い出すと、その不安に拍車が掛かった。 ギターを弾かなくなり、テレビも見なくなり、目覚まし時計の秒針が刻む音すら耳障りなのか壊してしまった。まるで全ての音を遠ざけるように四六時中、部屋に引き篭もり、学校に行く時でさえ、耳栓で耳を塞いでいる。 憂「早く良くなってくれればいいんだけど……」 いや、そもそも別に病気に罹っているわけではないのだ。ただ人より少し感覚が鋭敏になっているだけという話。それを考えると治るという言葉は正しくないように思えた。 憂(前のように戻れる、のかな……) 降って湧いたその疑問を追い出すように首を振る。あれこれ考えても仕方が無い。今の自分に出来るのは、少しでもお姉ちゃんの負担を軽くすることだけだ。 憂「ただいまー。お姉ちゃん、帰ってるー?」 全ての音が絶えたように静まり返った家からは、何の返事も返ってこなかった。 憂「まだ帰ってきてないのかな? 部活に行ってないのなら、もう帰ってきててもいいはず───」 「───ぁ、ああぁぁぁぁぁあぁぁぁッ!」 憂「お姉ちゃんッ!?」 2